文字サイズ

    レンズが見た鉱毒事件の地

    報道写真家・三留さん出版

    • 足尾銅山の堆積場。水面が赤く濁っている(2013年3月、三留さん撮影)
      足尾銅山の堆積場。水面が赤く濁っている(2013年3月、三留さん撮影)

     アジア、アフリカの紛争や難民の現状を伝えてきた報道写真家の三留理男(みとめただお)さん(75)が、足尾鉱毒事件の舞台となった日光市足尾地区や渡良瀬遊水地の風景を集めた写真集「鑛(鉱)毒 田中正造と谷中農民」を出版した。「自身の身をなげうち、被害民の立場で闘った政治家がいたことを知ってほしい」と話している。

     大学在学中からアジアやアフリカの紛争地を訪れ、飢餓で苦しむ人々などをレンズに収めて国内外に伝えてきた。国内では、成田空港建設に反対する「三里塚闘争」や安保闘争などを取材。俳優・三國連太郎さんが正造を演じた映画「襤褸(らんる)の旗」(1974年)の制作にも携わった。

    • (上)足尾の堆積場。水面が赤く濁っている (下)映画「襤褸の旗」で正造役の三國連太郎さんが直訴するシーン(共に三留さん撮影)
      (上)足尾の堆積場。水面が赤く濁っている (下)映画「襤褸の旗」で正造役の三國連太郎さんが直訴するシーン(共に三留さん撮影)

     正造にまつわる写真集を出そうと思ったのは、両親の故郷・福島県で起きた東京電力福島第一原発事故がきっかけ。同県田村市や飯舘村の避難所などを取材する中で、落ち度はないのに住み慣れた地を離れなければならない住民たちの姿が、足尾鉱毒事件と重なった。

     「正造が命をかけて訴えたことが生かされていない。今こそ若い人に鉱毒事件のことを伝えなければ」。原発事故直後の2011年5月から撮影を始めた。

    • 三留理男さん
      三留理男さん

     渡良瀬遊水地周辺を巡り、旧谷中村民の子孫らの話を聞いてはシャッターを切った。ヘリコプターから、足尾の山に残る製錬過程で出た残留物の堆積場や、渡良瀬遊水地のヨシ焼きなどを撮影した。「襤褸の旗」の撮影時に現場で撮った写真の中から、「川俣事件」や明治天皇への直訴シーンなども選んだ。

     三留さんは「足尾鉱毒事件と原発事故は構造が変わっていない。正造の精神を受け継いでいくことが必要だ」と話している。

     写真集はフルカラーで、132ページ。1900円(税別)。問い合わせは三留さんのメール(m‐gushosha@wg8.so‐net.ne.jp)へ。

    2013年12月27日 04時09分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    PR
    今週のPICK UP

    理想の新築一戸建て