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    店・車 博物館が再現

    「頭文字D」 館長「ファン集える場に」

    ■地元が舞台に「縁」

    • 「伊香保御おもちゃと人形自動車博物館」に移築された「藤原豆腐店」。横田正弘館長は、主人公の愛車を忠実に再現したハチロクも展示した。
      「伊香保御おもちゃと人形自動車博物館」に移築された「藤原豆腐店」。横田正弘館長は、主人公の愛車を忠実に再現したハチロクも展示した。

     1930~70年代に活躍した国産ファミリーカー約25台が整然と並ぶ展示室に、黄色と白のひさしに「手づくりの店 藤原豆腐店」と書かれた店舗が移築されている。異彩を放つ店の前には、白黒のツートンカラーのスポーツカー「AE86型スプリンタートレノ」(通称・ハチロク)が止まっている。

     カーアクション漫画「頭文字(イニシャル)D」の常設展示ブースが2012年9月に設けられてから、「伊香保おもちゃと人形自動車博物館」(群馬県吉岡町)には、車ファンだけでなく、この漫画のファンも訪れるようになった。ハチロクは、同漫画の主人公・藤原拓海の愛車だ。

     「博物館で展示されている車は1975年以前のものばかり。80年代に発売されたハチロクは違和感があるかもしれないが、漫画は地元が舞台となっているので、何か縁みたいなものを感じる」。横田正弘館長(60)は感慨深げに語る。

    ■「博物館の使命」

    • 今年8月公開の新作アニメ映画では、拓海が駆る「秋名のハチロク」が最新の映像技術でよみがえる((c)「劇場版 頭文字D」製作委員会)
      今年8月公開の新作アニメ映画では、拓海が駆る「秋名のハチロク」が最新の映像技術でよみがえる((c)「劇場版 頭文字D」製作委員会)

     同博物館は伊香保温泉(渋川市)に続く山の中腹にあり、漫画では同温泉や榛名湖などをモデルとした風景が描かれる。拓海の実家として登場する「藤原豆腐店」も渋川市に実在した「藤野屋豆腐店」を模したとされる。2005年公開の実写映画版が撮影された際、同店の看板は「藤原豆腐店」に書き換えられた。全国から熱心なファンが同店を訪れたことなどから、看板や窓などのセットは撮影当時のまま残され、豆腐店は営業を続けた。

     豆腐店は09年、区画整理と店主の死去に伴い閉店した。閉店前から店が解体されることを惜しむファンから「店を移築できないか」などと書かれたメールが、同博物館に相次いで寄せられた。店舗解体後も看板などを保管していた店主の家族から12年6月に連絡を受けたことをきっかけに、同博物館で「藤原豆腐店」が再現された。

     横田館長は「私自身がクラシックカーの愛好家なので、同じ車好きとしてファンの気持ちは分かる。この店を保存、展示することは、博物館としての使命だ」と話す。

    ■ハチロク40台集結

     漫画は13年7月、18年にわたる連載を終了したが、週末や休日には同博物館にハチロクで駆けつけるファンが後を絶たない。横田館長は同年9月、榛名湖畔で開催するクラシックカーレースに合わせて、「86ピクニック」と題した交流イベントを初めて行った。全国の愛好家が駆るハチロク約40台が集結し、今年も9月14日に2回目を予定している。

    • 昨年9月に初開催された「86ピクニック」には、全国から集まった約40台のハチロクが参加した=横田正弘館長提供
      昨年9月に初開催された「86ピクニック」には、全国から集まった約40台のハチロクが参加した=横田正弘館長提供

     横田館長は「漫画の連載は終了したが、『頭文字D』の人気は根強い。今後もファンが集まれる場所や機会を作っていきたい」と意気込みを語る。

    ■アニメ映画8月公開

     この機運をさらに盛り上げる動きとして、新作のアニメ映画が今年8月に公開されることが決まった。原作の漫画の後半では、拓海たちが神奈川県などに遠征するようになり、群馬が描かれることが少なくなった。新作映画は、原作の初めから描き直されるため、全編にわたり群馬が舞台となる。

     同映画のプロデューサーを務める講談社映像製作部の西保雄・部次長(52)は「原作の結末が分かっているので、伏線を張った新作を作ることができるはずだ。原点回帰するが、原作が始まった19年前と現在では風景が変わってしまったところもある」と話す。

     原作に描かれた場面を尊重しつつ、できるだけリアルに描くため、新作のスタッフが2度ほど群馬で取材をしたという。西さんは「新作を見た人に『この場面は、この場所か』と思ってもらえるようにしたい。地元と一緒に盛り上がれる仕掛けもしていきたい」と意気込んでいる。

    (笹島拓哉)

    ■「走り屋」が白熱レース

     「頭文字D」は、しげの秀一さん作のカーアクション漫画で、1995~2013年に週刊漫画誌「ヤングマガジン」(講談社)に連載された。単行本は全48巻。

     型が古い愛車ハチロクを運転する若者、藤原拓海が、スポーツカーを駆る“走り屋”たちと峠道で白熱したレースを繰り広げる物語。拓海の実家「藤原豆腐店」は、榛名山がモデルとなった架空の「秋名山」の麓にあるという設定。原作は中盤まで群馬県内が舞台で、ライバルたちの拠点は、赤城、妙義、碓氷など実在する地名となっている。

     アニメは1998~2012年、テレビシリーズ4作、映画1作などが作られ、05年には台湾の俳優ジェイ・チョウ主演の実写映画が公開された。

     新作として、映画3部作と「Final Stage」と題するアニメシリーズが決まっており、映画の第1弾「頭文字D Legend1―覚醒―」は8月23日に公開を予定している。

    ■交通案内■

     「伊香保おもちゃと人形自動車博物館」は、関越自動車道・渋川伊香保インターチェンジから約17分。JR上越線・渋川駅からバスで約17分。住所は群馬県吉岡町上野田2145。

     開館時間は午前8時半~午後5時(4月25日~10月31日は午後6時まで)。入館料は大人1050円、中高生840円、4歳~小学生420円。年中無休。問い合わせは、同博物館(0279・55・5020)へ。

    2014年02月21日 00時26分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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