先祖へ目印高々と 仏壇周りに盆棚作り

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生田目さん宅に立った高竿灯籠(7月31日、大田原市佐良土で)
生田目さん宅に立った高竿灯籠(7月31日、大田原市佐良土で)

 大田原市周辺では8月、民家軒先に「 高竿たかん灯籠どうろう 」が掲げられる。盆に先祖を迎えるための高竿灯籠は、かつては近所の共同作業で作ったが、手間暇も多くかかり、近年は掲げる家も減っている。同市湯津上の造園業、木村光一さん(75)は、地域の伝統を守ろうと、依頼があった家のため製作を続けている。

 木村さんは、7メートルと2メートルの竹を十字に組んだ高竿灯籠に、亡くなった人の年の数だけ、結び目を作っていく。「『イボ結び』というほどけない結び方です。昔は生け垣を結ぶ際に使ったが、今は結べる人も減った」。木村さんが教えてくれた。

 木村さんの高竿灯籠は、地面に立てる先端を除く3か所の先端にわら縄が結ばれ、ヒバの葉が飾られる。そして横木の先端に灯籠をつけ、8月1日夜までに掲げられる。

 木村さんは今年46本を製作し、同市佐良土の農業・生田目新作さん(72)宅に、今年最後の1本を立てた。生田目さんは2月、母 カ子かね さんを亡くした。95個の結び目がついた高竿灯籠が、カ子さんが眠る墓地に向けて掲げられると「これで母も喜んで戻ってきてくれる」と安心していた。

 死者の霊を迎えるため、高々と灯籠を掲げる風習は古く、鎌倉時代の公家・藤原定家の日記「明月記」には、京都の町で掲げられていた記述が残る。県北部地域の風習に詳しい木村康夫・大田原市史編さん民俗部会長(70)は「県北では初盆を迎える家が、死者の霊が迷わず戻ってこられるように目印に掲げてきた」と説明する。

 注文があれば盆棚も製作する木村光一さんが、自宅の盆棚づくりを見せてくれた。先祖を迎えるために設ける盆棚は、 精霊棚しょうろうだな 、先祖棚とも呼ばれる。

 先祖が帰ってくる13日の朝、木村さんは手際よく竹を切り、仏壇の周りに組み上げ、竹の所々をイボ結びで装飾する。しめ縄のように張った 真菰まこも 縄に、干しわかめ、そうめん、ヒバの葉、ホオズキを挟み、オミナエシやキクの盆花を飾った。仏壇に むしろ とヒバの葉を敷いて、ナスとキュウリで作った牛と馬の精霊馬を置き、盆棚は完成した。

 木村さん宅では13日夕方、焼きアユを食べ、墓地に行って家紋入りのちょうちんに火を入れて、先祖の霊を迎え、帰宅後そうめんを食べる。盆棚には、14日はあんこ餅、15日はきなこ餅、先祖が旅立つ16日は何もつけない白い「送り団子」を供える。16日午後、精霊馬を墓地へ持って行き線香をたいて先祖を送り出せば、お盆が終わる。

 木村さんは「高齢化で、高竿灯籠や精霊棚を作るのが難しい家が増えた。地域の大事な伝統だし、作ってほしいという人もいるので、しっかり続けていきたい」と語る。(石塚格)

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2284232 0 とちぎ豊穣記 ~盆~ 2021/08/14 11:00:00 2021/08/14 11:00:00 2021/08/14 11:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/08/20210814-OYTAI50002-T.jpg?type=thumbnail

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