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八溝の方言を「辞典」に…病と闘いながら完成、ネットに公開

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病と闘いながら、八溝の懐かしい言葉をまとめた桑野さん(宇都宮市で)
病と闘いながら、八溝の懐かしい言葉をまとめた桑野さん(宇都宮市で)

 旧大内村(現那珂川町)出身の桑野正光さん(77)が、県東部の八溝地域の言葉をまとめた「栃木八溝方言ごじゃっぺ辞典」を完成させ、インターネットで公開した。重い病と闘いながら「故郷の記録を残したい」と書き上げた。桑野さんは「戦後の激しい社会変革の中、八溝地域も劇的に変化した。言葉を通して、地域の歴史にも触れてほしい」と語る。

 桑野さんは1944年1月、旧大内村で生まれた。国語教師として宇都宮女子高校などで勤務し、定年後は那珂川町教育長も務めた。健康が自慢だったが、72歳の時、急性白血病を患い、約1年間入院生活を余儀なくされた。

 「残された人生で、八溝の言葉を記そう」。宇都宮での生活が長くなり、親も呼び寄せ、生家を空き家にしていたため、過疎が進む故郷に負い目もあった。病と闘いながら方言をまとめる作業を進めた。

 辞典は、昭和30年頃の少年時代に使っていた言葉を中心に1334語を掲載。工業化の急速な発展で、葉タバコやこんにゃく栽培、林業が盛んだった旧大内村でも、若者は都市に流れ、村人の多くが離農、会社勤めへと変わっていく時代だった。桑野さんは「戦前の自然、風習、文化、人のつながりが、残っていた最後の時期だった」と振り返る。

 「きたい 予想外であることで、良いことにも悪いことにも使う。『何でななぐなっちゃたのか、きたいだな』」

 「ござっぱたき 『ざんばらい』ともいう。寄り合いで、当家の都合も考えずいつまでも飲食をして席を立たない人のこと」

 入院中にメモを作成し、退院後は故郷で古老たちに聞き取りをして、細かなニュアンスを確かめた。すでに使われなくなった言葉も多く、懐かしがる古老たちの話は止まらず、メモし続けた。辞典では、できるだけ具体的用法も添えた。

 ネット公開にあたり、桑野さんは、少年時代の学校生活、山や川遊び、日々の食事、農機具や生活道具、民間療法など50本のコラムを書き上げ、「覚え書き」として掲載。日陰の田に水をまいて凍らせて遊んだ「 下駄げた スケート」など、子どもたちの生き生きとした姿がよみがえる。

 タイトルの「ごじゃっぺ」は、うそ、でたらめ、冗談などの意味だが、 愛嬌あいきょう のある語感が好きで、名付けたという。桑野さんは「言葉は、歴史そのもの。何でもない農村の言葉は、なくなれば消えるだけ。記録することで、少しは故郷に恩返しできたかな」と笑う。

 辞典のアドレスはhttps://www.mkuwano.com

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2324808 0 ニュース 2021/08/30 09:00:00 2021/08/30 09:00:00 2021/08/30 09:00:00 病と闘いながら、八溝の懐かしい言葉をまとめた桑野さん(29日午後0時15分、宇都宮市で)=安田英樹撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/08/20210830-OYTNI50004-T.jpg?type=thumbnail

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