「青天を衝け」で栽培指導の藍農家、「栃木県を日本一の産地に」と奮闘

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藍の乾燥葉を発酵させる「すくも」作りに取り組む松由さん(11日、さくら市で)
藍の乾燥葉を発酵させる「すくも」作りに取り組む松由さん(11日、さくら市で)

 「栃木県を日本一の藍の産地にする」――。矢板市安沢の藍農家・ 松由まつよし 拓大さん(45)が、そんな大きな夢に向かって奮闘している。昨年放送されたNHK大河ドラマ「青天を け」では、撮影当時、栽培歴6年目ながら藍栽培の指導を担当。今年は藍染めの原料「すくも」作りを始めるなど、挑戦を続けている。(安田英樹)

 さくら市のゴルフ場の一角にある小屋。山積みされた藍の乾燥葉をかき混ぜて水をかけ、新たに乾燥葉を足す。週に1回はかき混ぜて発酵を促すと、4か月ほどで腐葉土のような状態のすくもが完成する。松由さんは「要領は 堆肥たいひ と同じだが、初めての挑戦だから、うまくできるか不安」と話し、作業に精を出していた。

 会社勤めをしていた松由さんは、農業と畜産業を営んでいた父の死を機に就農を決意し、県農業大学校で基礎を1年間学んだ。益子町の藍染め工房で天然藍の魅力と可能性を知り、2015年、藍農家に。ただ、周囲に藍栽培に通じた人が見当たらず、国内最大産地の徳島県に通って勉強を重ねた。

 かつて日本人の日常着として愛用された藍染めは、海外から「ジャパン・ブルー」と称賛され、栽培も各地で盛んだった。しかし、安価な外国産藍や、化学藍の普及で、今やほとんど姿を消した。日本特産農産物協会によると、19年の国内藍栽培は、徳島県が約16・7ヘクタールで7割を占め、北海道が4ヘクタールと続く。栽培量は年々減少し、存続の危機にさらされている。

 松由さんは、委託栽培も含め、矢板、大田原、さくら市で栽培している。特にさくら市では、農業法人が乾燥作業や苗作り用にハウスを貸してくれたり、産直施設が花壇に藍を植えてPRをしてくれたりと、協力者が増えてきた。今年はゴルフ場が小屋を貸してくれたことから、すくも作りに乗り出した。

 栽培目標は都道府県日本一の20ヘクタール。ただ、「決して大きな数字ではないが、実現には壁が多い」とも実感しており、作業の機械化が鍵だと考える。機械化できれば作業効率が上がり、コストが抑えられる。収益が増えれば栽培農家も増えるという計算だ。ただ、藍栽培専用の機械はなく、ほかの作物の機械で代用できないか試行錯誤を続ける。

 失敗が続き、心が折れかけた時期もあったが、大河ドラマの仕事が転機となった。主人公・渋沢栄一の生家の家業は藍玉(藍染めの染料)の売買。生家のロケ地では松由さんの指導で、実際の藍畑が作られた。栽培歴の浅さから不安も感じたが、「藍畑が大河ドラマに出るのは一生に一度」と思って引き受けた。2年間は自分の畑を諦め、大河ドラマの仕事に専念。「藍をとことん調べ、藍と向き合った時間で、自分がとても鍛えられた」と振り返る。

 「まだまだ勉強することは多いが、栃木の風土なら量も質も日本一の藍を育てる自信がある」と語る松由さん。仲間たちに支えられながら、天然藍の魅力発信に力を注ぐ。

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