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後継者不足を解消したい県伝統工芸品「日光
新商品を開発したのは、2014年から宇都宮市今泉町の自宅兼工房で、日光下駄を製作してきた渡辺誠友さん(38)と、同市二荒町の就労支援事業所「CWらぼ宇都宮」。同事業所の管理者・菊地恵さん(53)が、母親が日光市出身で日光下駄に興味があり、その苦境を知って渡辺さんに協力を申し出たのがきっかけだ。
日光下駄の歴史は江戸時代まで遡る。神官や僧侶が社寺に入る際に、格式を重んじて草履を使用するのが原則とされていたが、坂道が多く、雪深い日光で草履は歩きづらいため、下駄を合わせた「
一方、21年7月に開所した「CWらぼ宇都宮」は、精神障害などのある15人が通所し、青森県津軽地方の伝統工芸「こぎん刺し」による雑貨などを製作している。こぎん刺しは、
「CWらぼ宇都宮」にとって、今回の企画は利用者の賃金向上につなげる狙いもある。雑貨類を福田屋百貨店に期間限定で卸すなど、販路を広げてきたが、開所から間もないこともあり、時給は県内の最低賃金にとどまっているという。菊地さんは「障害のある人でも、高い技術を持っていることを知ってもらいたい。日光下駄との共作で売れれば、利用者の自信にもつながる」と期待を膨らませる。
新商品は発注から1~2か月程度で納品される。鼻緒のデザインは購入者の希望で選ぶことができ、価格帯は2万~3万円前後。渡辺さんは「まずは日光下駄の魅力を多くの人に知ってもらいたい。認知度が高くなれば、おのずと後継者不足も解消されていくはずだ」と話している。問い合わせは渡辺さん(028・623・1470)。
日光下駄 桐の台木の表面にタケノコの皮で編み込まれた草履が、麻糸を使って手作業で縫い合わされている。吸湿性や保温性に優れ、一年を通じて使い勝手がいいのが特徴。近年は裏にゴムを付けるなど、歩きやすく加工したカジュアルな商品も出ている。