読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

パラオ海底 不発弾処理

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

パラオ共和国で不発弾の処理にあたっている白木健治さん(54)
パラオ共和国で不発弾の処理にあたっている白木健治さん(54)

 ◇日本地雷処理を支援する会 白木健治さん54

 元自衛官らでつくり、世界各地で地雷や不発弾の処理に取り組んでいる認定NPO法人「日本地雷処理を支援する会(JMAS)」(東京)。その一員として、南国のパラオ共和国で、第2次世界大戦中に海底に残された不発弾の処理にあたっている。帰国するのは年2回、健康診断を受ける2週間ほど。それ以外は「油断すれば死ぬ」という緊張感とともに海底で過ごす。

 父親は陸上自衛官。「自分も人の役に立てる職業に」と背中を追い、高校卒業後は海上自衛隊へ。1991年から掃海艇での任務に就くと、東京・硫黄島で、海中に敷設した機雷を爆破する訓練で指揮を執るなど掃海技術を磨いた。

 JMASに加わったのは2017年11月の退官後、知人に誘われたのがきっかけ。最初こそ「海外での活動なんて、自分とは縁遠い」と思った。だが、その活動を知るうち、「引退した後も自分の技術が人を手助けできるなら」とすぐに心は切り替わり、1か月後にはすでにパラオへと飛び立っていた。

 ダイビングスポットとして知られ、美しい海が広がるマラカル湾周辺。しかし、空気ボンベを背負って水深10~20メートルへ潜ると、海底の砂が舞い上がり、視界は悪い。そんな中、沈没船などから砲弾や爆雷を見つけると、手作業でビニール製のカバーをかぶせ、その後は重機で引き揚げる。

 作業には、現地スタッフを含む6人のチームであたるが、梱包こんぽうや、持ち上げる際などバランスを崩せば、内部から有害物質が漏れ出すなどの危険がある。誰も見ていない海中で、自分に「常に冷静に」と語りかけながらの地道な活動だという。

 JMASがパラオで、12年から今年8月末までに処理した不発弾などは162発。現地の空港で7月、JMASのユニホームを身に着けた姿に、空港職員が「サンキュー」と声をかけてきた。「感謝の言葉が何より励みになるし、勇気を与えてくれる」。活動の浸透に喜び、奮い立ち、日本からはるか約3200キロ南の海で、きょうも活動を続けている。

 <しらき・けんじ> 牟岐町内妻出身。海上自衛官として護衛艦や補給艦の航海長などを務めた。広島や神奈川、長崎などでの勤務を経て、2017年3月に小松島市の第24航空隊に配属されて故郷に戻り、そのまま退官後、JMASに加わった。JMASは01年9月の設立以降、カンボジアやラオスなど4か国で地雷など計約40万3000発以上を処理している。

 ◆取材後記

 ◇「誰かが除去を」使命感

 こんがりと焼けた顔には、笑うと、白い歯がくっきり。穏やかな表情はバカンス帰りかと見まがうほど。最初は、命がけで海に潜る姿が想像できなかった。

 答えは簡単。帰国中だったから。くたくたに疲れた心身を癒やしてくれるのは家族や友人。「こっちは阿波おどりに命かけてるぞ。お前ほどではないけどな」。今年8月、インターネット電話越しの友人の言葉に思わず笑ってしまったという。

 なぜ危険を冒してまでパラオへ行くのか。「究極の安全は不発弾に誰も手を付けないこと。でも、誰かが除去しなければいつまでもそこに危険がある」。重い使命感からか、みるみるうちに表情が精悍せいかんさを取り戻していった。(三味寛弥)

無断転載・複製を禁じます
43189 0 人あり 2018/09/29 05:00:00 2018/09/29 05:00:00 「体力、気力が続く限りパラオで活動する」と語る白木さん(牟岐町で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180928-OYTAI50003-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)