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出所者 社会復帰へ道筋

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講演会で出所者らへの支援の必要性を語る吉崎さん(徳島市で)
講演会で出所者らへの支援の必要性を語る吉崎さん(徳島市で)

 ◇NPO法人「轍」理事長 吉崎恵三郎さん 52

 刑務所の出所者や反社会的組織を脱退した人の社会復帰を支援しようと2017年1月、NPO法人「わだち」(徳島市)を設立した。元受刑者として社会復帰するまでに苦労した経験がある。「出所後、職に就けずに再び犯罪に手を染めてしまう人も多い。社会の受け入れ態勢を整え、負の連鎖を断ち切らなければならない」と強調する。

 徳島市出身。小学3年から母子家庭で育ち、中学入学後は非行を繰り返す日々。中学3年で少年院に入った。家庭環境から一人で過ごす時間が多かったといい、「さみしさが反発心に変わってしまった」と振り返る。

 少年院を出てすぐ、知人の誘いで県内の暴力団に入った。00年から福岡刑務所に服役。約8年間、塀の中でこれまでの人生を思い返し、「周りに迷惑をかけた分、真面目に働いて自立しよう」と心に決めた。

 出所後、暴力団を脱退し、職業安定所を訪れた。担当者から履歴書を渡されたが、すぐに手が止まった。学歴や職歴が書けない。元受刑者であることを告げ、介護助手の仕事を申し込んだが、連絡は来なかった。

 「行政に頼るだけでは定職に就けない」と、半年後、露店営業の許可を取って屋台を始めた。市場やスーパーに通い、から揚げや串カツなどを販売。現在は直売所に海産物を卸す仕事で生計を立てている。

 「この経験を役立て、罪滅ぼしをしたい」。17年1月にNPO法人「轍」を設立した。活動を支えてくれる賛助会員は100人以上に上る。協力を得ながら、出所者らの帰住先や土木建築、食品製造、美容室などの就職先を紹介できる窓口になっている。また、犯罪被害に遭う可能性がある人からも相談を受けている。

 活動を始めて約2年。出所者の高齢化を背景に働く意欲のない人も多く、更生の難しさを痛感している。それでも、「一筋縄ではいかないが、いつでも後押しする」とその姿勢は変わらない。

 17年9月からは徳島市内で講演会を積極的に開いている。会場では毎回、弁護士や教育者ら様々な人が耳を傾ける。そして、自身の経験を交えながらこう語りかける。「出所者や離脱者が普通の生活に戻るには高い壁がある。彼らを孤立させないためにも、全うに生きていくための〈轍〉を示し続けたい」

 ◆取材後記 苦労知るからこそ

 「同じような境遇の人にとっての道筋となるような支援がしたい」。そんな思いを「轍」という名称に込めたという。

 一方で、「本人が仕事をしたいという強い気持ちがなにより大事」とも強調する。社会復帰の苦労を知るからこその言葉だ。

 昨夏、徳島市内で開かれた吉崎さんの講演会に出席した。

 定職に就けない壁にぶち当たりながらも生活のために露店営業から始め、自分自身で人生を切り開いた。そんな経験談とともに語られる出所者らに対する支援の必要性はなによりも説得力があった。(三味寛弥)

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100357 0 徳島の子ども食堂 2019/01/23 05:00:00 2019/01/23 11:00:28 講演会で出所者らへの支援の必要性を語る吉崎さん(徳島市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190122-OYTAI50017-T.jpg?type=thumbnail

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