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 ◇3月に開館20周年を迎えた大塚国際美術館の常務理事 田中秋筰さん 72

ゴッホの「幻のひまわり」などひまわり7作品の展示を始めた大塚国際美術館の田中さん(鳴門市で、柏木利章撮影)
ゴッホの「幻のひまわり」などひまわり7作品の展示を始めた大塚国際美術館の田中さん(鳴門市で、柏木利章撮影)

 大塚国際美術館(鳴門市)は3月、開業20周年を迎えました。最近は県内外から年間38万人前後にお越しいただいていますが、2018年はオランダ人画家・ゴッホの代表作「ひまわり」7作品の公開で、40万人の来館を目指しています。

 この美術館には、瀬戸内海国立公園内に建築する許認可を取る交渉段階から携わってきました。大塚製薬工場総務部長だった約35年前、当時の大塚製薬グループの大塚正士まさひと社主から「担当しろ」と命じられたのがきっかけでした。

 大塚製薬設立75周年記念事業で、同時期にできる明石海峡大橋開業に合わせ、大塚社主は「この美術館を鳴門に観光客をせき止めるダムにする」と言っていました。郷土愛の強い方でしたから、橋がついても道後温泉(松山市)のような名所がない徳島は通過されてしまうと心配されたんですね。

 開業時期は決まっていますから、県や県教育委員会、鳴門市の担当者と、環境庁(現・環境省)に頻繁に出向いたんですが、担当の専門官は「国立公園内に建てるのはおかしい」という態度で、交渉は非常に難航しました。

 でも、大塚社主はこの立地にこだわっていました。「(鳴門の)渦潮には人が来る。(美術館には)ついでに来てもらうんだ」と。世界中の美術品に触れられる公益性などをねばり強く訴えて5年がかりで認めてもらいました。

 なぜ陶板画を展示することになったかというと、大塚社主が「医・食・住」の事業に注力していたことと関係しています。医は製薬、食はボンカレー、住は、高度成長期の建設ラッシュを見て建材として利用されていた陶板に目をつけました。

 ところが1973年からの石油危機で陶板は売れなくなった。そこで絵画を焼き付けた美術陶板に方向転換しました。それが美術館につながりました。陶板は最も大きなもので長さ3メートル、幅0・9メートル。今は2万色の複雑な色を表現でき、作品は細かい筆遣いや傷まで再現しています。

 98年の開業当初は、30万人の来館者を集めた一方、「複製画だ」とやゆされることもありました。美術館の運営も任せられた私は、有識者に実際に見てもらおうと、学会誘致に力を入れました。13年の日米美術フォーラムなど大きな学会を開催した結果、美術関係者に良さを実感してもらい、今はそういう声はほとんど聞かれなくなりました。

 年間20万人前後で推移していた来館者が回復したのは、新しい企画に力を入れたお陰です。世界的なベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」に出てくる絵画を見て回るツアーや、歌舞伎上演、将棋のタイトル戦の対局。新聞やテレビで取り上げられる機会も増えたことが大きかったんだと思います。

 今は徳島の代表的な観光施設になりましたが、外国人観光客はまだ十分には取り込めきれていません。これからは地方に流れてくる人も多くなりそうなので、(仕掛けをしようと)県とも話をしています。増やすチャンスはあると思っています。(聞き手・支局長 栗原公徳)

 

 ◆七つの「ひまわり」一望

 大塚国際美術館は、オランダのゴッホ美術館など世界各地で所蔵されるゴッホの「ひまわり」7作品を原寸大で再現した陶板画の展示を始めた。従来は兵庫県芦屋市の貿易商宅で戦災によって焼失した「幻のひまわり」など2作品だけだったが、開館20周年に合わせて5作品を新作した。

 地下1階の展示室に制作年順に展示され、日米英などに分散して所蔵されている作品を一望できる。この展示開始に合わせ、大塚国際美術館は4~6月の毎土日曜日にひまわりのほか、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」などオランダの美術館に所蔵される作品を解説する館内ツアーも実施する。

 ◇

 たなか・しゅうさく 1945年生まれ。68年桃山学院大卒、大塚製薬工場入社。取締役などを歴任。大塚国際美術館では2007年から現職。大塚製薬うずしおクラブ監督として全日本綱引選手権大会で準優勝2回。日本綱引連盟専務理事も務めた。大阪市出身。

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使い方
14940 0 徳島人国記 2018/04/01 05:00:00 2018/04/01 05:00:00 大塚国際美術館・常務理事の田中秋筰さん(鳴門市の大塚国際美術館で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180331-OYTAI50009-1.jpg?type=thumbnail

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