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「フロイデ」胸打つ一体感

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本番に向け、第九の合唱を指導する頃安さん(右、鳴門市で)
本番に向け、第九の合唱を指導する頃安さん(右、鳴門市で)

 ◇独から帰国鳴門で合唱指導 頃安利秀さん65

 「こんな中で『第九』を歌うのか」。この国と国民にとって、第九がどれだけ偉大かを改めて感じた。ドイツのベルリンの壁が崩壊した1989年、声楽家頃安利秀さん(65)(鳴門市)は、バイエルン放送合唱団に所属していた。旧東ドイツ側のベルリンでのコンサートに向かうため、バスで移動する際、パトカーの先導と、警察官の護衛が付いた。

 だが、周囲の物々しさをよそに会場は熱気に満ちていた。指揮を執るのは情熱を前面に押し出し、派手なパフォーマンスで知られた世界的な指揮者レナード・バーンスタイン(故人)。

 バーンスタインが歌詞の「喜び(フロイデ)」を「自由(フライハイト)」に替えて歌わせると、観客はスタンディングオベーション。ステージ上で頃安さんも一つになったドイツを肌で感じた。

 帰国後の91年、「多くの人に音楽の持つ力を伝えたい」と鳴門教育大で音楽の指導者になった。だが、兵庫県出身で母校も東京芸大と、徳島には縁がない。第九のアジア初演の地だった歴史については、徳島に来て初めて知った。

 「まさか、ここでも第九か」。驚きとともに縁を感じ、間もなくNPO法人「鳴門『第九』を歌う会」に入り、合唱の指導や指揮など活動を手伝うようになった。

 徳島で第九と関わり27年。現在、大学教授を務めながら第九の「アジア初演100年」の記念コンサート(6月1日)に向け、練習を重ねる。今月9日にあった練習には大学生から高齢者まで約120人が参加。頃安さんの「明るく笑顔で」とのかけ声に、誰もが楽しそうに歌っていた。ドイツ語の発音などを細かく教えるが、出来栄えには寛容だ。

 徳島市八万町、無職藤田道代さん(80)は「心が落ち着いてどんな苦境も乗り越えられる気がする」と声を弾ませた。北島町の鳴門教育大大学院3年板東志乃さん(24)は「幼い頃から耳にするが、いつ聴いても明るい気持ちになれる」と語る。

 「歌は、言葉と曲のどちらか一方では伝わらない部分まで超えていける」と頃安さんは考える。第九が人の胸を打つのは、歌と演奏が一つになったステージを実現できるからだ。

 記念コンサートでは「100年の重みを表現できたらいい」と語る。ベルリンで経験したあのステージと観客の一体感をイメージしながら、頃安さんの指導にも熱がこもる。

 ◆鳴門「第九」を歌う会 「鳴門市『第九』を歌う会」として1981年、当時の鳴門市長を会長として設立された。毎年、公募などでメンバーを募り、600人規模で第九演奏会を開いており、瀬戸大橋が開通した88年からは全国から参加者が集う。2003年にNPO法人となり、現在の名称になった。

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23284 0 語り継ぐ、歌い継ぐ 第九アジア初演100年 2018/05/25 05:00:00 2018/05/25 05:00:00 第九の合唱を指導する頃安さん(鳴門市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180524-OYTAI50012-T.jpg?type=thumbnail

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