<5>若い感性 日本酒に新風

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 ◇異業種コラボ■女性向け開発

「多くの人に日本酒を口にしてもらいたい」と話す酔鯨酒造の大倉社長(高知県土佐市で)
「多くの人に日本酒を口にしてもらいたい」と話す酔鯨酒造の大倉社長(高知県土佐市で)

 近年のワインブーム、焼酎ブームのあおりをうけ、日本酒の国内出荷量はピークの3分の1に落ち込んでいる。「淡麗辛口」で知られる高知の酒も逆境にあるが、若くてしなやかな感性で、新風を送り込んでいる〈蔵人くらびと〉たちがいる。

女性も飲みやすい酒造りに挑戦する仙頭社長(高知県芸西村で)
女性も飲みやすい酒造りに挑戦する仙頭社長(高知県芸西村で)

 ワインの仏・ブルゴーニュ、ビールの独・ミュンヘンのように、高知を日本酒の本場に――。酔鯨酒造(高知市)の4代目・大倉広邦社長(40)は、「日本酒は安酒」というイメージを払拭ふっしょくするため戦略を練る。

 祖父が創業した酒蔵だが、関東の大学を卒業後、ビールメーカーに就職。実家の酒が屋外に雑に並べられ「値引き」の札が貼られているのを目の当たりにしてショックを受けた。7年前に脱サラして、実家を手伝うようになった。

 2016年に社長になっても、“営業マン”として東奔西走する。会社員時代に教えられた「企業も人も、成長しようと努力し続けないと衰退するのみ」という言葉を胸に、斬新なアイデアを次々繰り出す。

 酒瓶のラベルをファッションデザイナーに依頼したり、高級食器ブランドで「鯨」のマークの入った杯をつくったり、異業種とのコラボにも積極的だ。

 18年には、高知県土佐市に吟醸酒の生産に特化した製造工場を建設。洗米、精米はオートメーションで、部屋ごとにドアで仕切り、作業ごとに適切な温度を保つ。一方、0・9トンと比較的小さいタンクで管理するのは、高い品質を維持する工夫だ。

 やり方が「チャラい」といわれることもあるが、根底にあるのは、品質に対する絶対的な自信。「丹精込めてつくった日本酒がワインやビールに劣るわけがない。きっかけはなんでもいい。まずは飲んでみてほしい」

 1903年創業の仙頭酒造場(高知県芸西村)は、2児の母親でもある仙頭美紀さん(44)が社長を務める。県内に18ある酒蔵の中で唯一の女性トップだ。

 「酒蔵の娘」だが、大学生の頃は、日本酒は「悪酔いする」「女性が飲んでるとどう見られるのかな」と、マイナスイメージが強く全く口にしなかった。しかし卒業後、東京の地酒専門店で勉強するなかで、全国各地の美酒に出会い、魅力にとりつかれた。

 「自分のように、日本酒になじみのない人が、気軽に飲める酒づくりを」という思いが、商品づくりにも生かされている。

 「フレッシュ&ジューシー」と好奇心をそそる宣伝文句や、「野菜の天ぷらなど季節の素材を生かした料理と相性が良い」などの説明をラベルに添えた。

 2014年には、女性をターゲットにした「美潮」を発売。ブランド名は長女からとった。女性向けに、白ワインをイメージし、甘口だけどべったりはしない、「蜜のような上品な甘さ」が売りで、今では同社の代表ブランドに成長した。

 「酒造りは子育てのよう。手をかけただけ、おいしくなる楽しさがある」。女性ならではのこまやかさで、日本酒の可能性を広げている。

(中西千尋)

 ◆カフェ、ラベル人気

 若い女性たちから注目を集めているのが、愛媛県砥部町の協和酒造の「酒蔵カフェ」。酒蔵に併設し、酒造りで出る酒かすをつかったケーキ、甘酒などを提供、日本酒の試飲もできる。「小さい酒蔵だが、観光地の利を生かし、訪れた人に日本酒の魅力を知ってもらえる」という。最近では、甘酒や酒粕が美容にいいとされ、人気が出ている。

 三好市の三芳菊酒造の製品のラベルは、若者を意識して、アニメ風のキャラクターをあしらっており、ラベルのコレクターもいるという。

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61306 0 次代の扉 四国の平成 2019/01/07 05:00:00 2019/01/07 05:00:00 「多くの人に日本酒を口にしてもらいたい」と話す酔鯨酒造の大倉社長(5日午後1時44分、土佐市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190106-OYTAI50012-T.jpg?type=thumbnail

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