高齢者の再犯防止 強化

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県センター 執行猶予、不起訴も面会

脱孤立へ 来月から「入り口支援」

 孤独や貧困などから犯罪を繰り返す高齢者らを減らそうとする取り組みが、この春、県内で強化される。県地域生活定着支援センター(徳島市)は、刑務所を出所した高齢者らを福祉サービスにつなぎ、自立を促す「出口支援」に加えて、刑事事件を起こして不起訴や執行猶予処分になった人も同様に支える「入り口支援」を始める。二つの支援で、再犯防止と社会復帰の促進を目指す。(上田裕子)

帰る場所なく

 「体調はどうで」「通院はしてるか」。2月下旬、県地域生活定着支援センターを訪れた男性に、岡崎譲治所長が穏やかな口調で尋ねた。60歳代の男性は2019年に出所して以来、センターの支援を受けてきた。

 男性は2度服役した。1度目に出所した時は周囲に相談できる人がなく、福祉サービスについても知らなかった。頼れる場所がなく、気がつけば再び犯罪に手を染めていた。2度目の服役を終え、保護観察所などの勧めでセンターを訪れた。

 体の不調を抱える男性は、センターの仲介で訪問介護サービスを利用するようになった。自治体などから届く通知について教わったり、日常の悩み事を相談したりするためにセンターへ足を運ぶ。男性は「頼れるのは相談支援員だけ。センターに来ていれば、再犯をしなかったかもしれない」と話す。

 高齢の受刑者は刑務所を出所しても帰る場所がなく、困窮して再犯に走るケースが少なくない。21年の犯罪白書によると、刑務所に入った受刑者の中で、65歳以上の高齢者が占める割合は12・9%(20年)に及ぶ。さらに刑法犯で検挙された出所者が2年以内に再入所した割合は、全年齢層で高齢者が19・9%(19年)とトップだった。

 センターが男性らに行ってきた取り組みを「出口支援」と呼ぶ。出所の6か月前から相談支援員が対象者と面接し、必要な福祉サービスを検討する。出所後は、住居探しなどをサポートしながら1年間は定期的に訪問し、生活状況を確認する。出所者を福祉につなぎ、孤立化を防いで再犯防止につなげる狙いだ。

捜査、公判段階から

 センターは11年に開設し、現在は県警OBら7人の相談支援員が従事する。21年3月末までに高齢者や障害者ら69人を支援し、33人が自立した。一方で、13人は支援の途中で辞退し、12人が支援中に罪を犯した。

 4月にセンターが始める「入り口支援」は、支援の対象者を、執行猶予処分や不起訴となった高齢者らに拡大するものだ。

 捜査や公判の途中の段階から相談支援員が面会し、家庭環境や障害の程度などを把握する。不起訴などが決まって釈放された後は、住居の仲介など出所者への出口支援と同様のサポートを行う。数年前から各地で試験的に行われたところ、効果を確認できたとして、全国の地域生活定着支援センターに拡大されることになった。

 刑務所ではなく社会で確実に更生させるには、福祉の受け皿に導きつつ、孤立させないための地道な関与が求められる。岡崎所長は「出口も入り口も、支援対象者のニーズに応えてサポートすることは同じ。センターが相談相手になって孤立を防ぎつつ、継続的に支援できる関係を築きたい」と話す。

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2868528 0 ニュース 2022/03/27 05:00:00 2022/03/26 20:48:42 2022/03/26 20:48:42 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/03/20220326-OYTNI50020-T.jpg?type=thumbnail

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