ケア児、家族 環境厳しく

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付き添い求められ離職も

情報交換の場必要

 たんの吸引や、胃に管を通して栄養を送る経管栄養などが日常的に必要な「医療的ケア児(医ケア児)」の数は2020年の推計で全国約2万人と、10年間で1・8倍に増えたとされる。医療技術が進歩し、救うことができる子どもの命が増えたためだ。だが、医ケア児やその保護者への支援は十分ではない。(斎藤七月)

 先天的な病気で、人工呼吸器が欠かせない長男(1)を育てる徳島市の会社員女性(30)は、医療的ケアが必要なことを理由に保育園の入所を断られた。

 医療的ケアは医師の指示の下、主に保護者や家族が行う。地域の公立学校や特別支援学校では付き添いを求められることがあり、保護者が離職するケースもある。

 女性は現在、保育士や看護師らが日常生活のサポートや運動の訓練を行ってくれる児童発達支援事業所を利用する。ただ、預かり時間は毎日午後3時頃までで、母や訪問看護によるサポートを得ながら、何とか仕事を続けているという。

 女性は預かり時間がより長い保育園に長男が入れることを望んでいるといい、「仕事を諦めずに済むよう、保育園や学校への看護師配置を進めてほしい」と話す。

 徳島市の40歳代の主婦は胃ろうによる経管栄養の医療的ケアが必要な長女(6)を持つ。

 心臓疾患の手術を受けた際の蘇生後脳症によるもので、退院後は付きっきりで世話をしながら、長女が通える施設の情報を手探りで集めた。

 医ケア児には、歩ける子もいれば、寝たきりの重度心身障害児もいる。支援に関わる機関も医療だけでなく、福祉や教育など幅広く、一元的に対応する機関はない。

 主婦は「相談先もわからず、知識が全くなかったので大変だった」と振り返る。

 今も、どのような食事を与えればよいのかや自身が世話をできなくなった時にどのように対応してもらうことができるのか、といった悩みや不安は尽きないという。「医ケア児を育てる同じ保護者同士で情報交換したり、気持ちを共有したりできる場ができれば」と願っている。

県 支援センター開設へ

 県は今年度内に医療的ケア児とその家族をサポートする支援センターを開設する方針で、医療機関などを通した実態調査を行っている。医療や福祉サービス、教育に関する相談にワンストップで対応することができる拠点を目指す。

 各都道府県に支援センターの設置を求める医療的ケア児支援法が昨年9月に施行されたことを受けた措置で、県は当初予算で事業費約1500万円を盛り込んだ。

 厚生労働省は2016年時点で、自宅で生活する医ケア児について県内には67人いると発表した。しかし、この人数は全国の数字から県内の子どもの数を割り出した推計値にすぎず、実態を反映しているとは言えない。このため県は4月、実態把握のための調査を開始。その結果を踏まえ、支援センターの場所や体制について検討する。

 県の担当者は「医ケア児の保護者からは、『どこに相談すればいいか分からない』と言う声が上がっている。センターで様々な相談に対応し、保護者の負担を軽減したい」としている。

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