銀幕一面武蔵野の魅力 「たまらん坂」来月公開

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映画「たまらん坂」で主人公・ひな子が登場する一コマ。名前は主演した渡辺雛子さんの名前から取られた(小谷監督提供)
映画「たまらん坂」で主人公・ひな子が登場する一コマ。名前は主演した渡辺雛子さんの名前から取られた(小谷監督提供)
小谷忠典監督
小谷忠典監督

 武蔵野地域を舞台とした映画「たまらん坂」が、3月から全国の劇場で公開される。海外の映画祭で入選の実績がある本作は、武蔵野大の客員教授を務める小谷忠典監督(44)の最新作で、学生を主演に 抜擢ばってき するなど同大が制作に全面的に関わった。小谷監督は「映画を通じ、武蔵野の魅力を改めて知ってほしい」と話す。

海外でも評価

 「たまらん坂」は、主人公がふだん上り下りしていた坂の由来を探る作家・黒井千次さんの同名の小説が原作で、同大の「武蔵野文学館」が脚本づくりなどを担当した。4年の歳月をかけて86分の長編として完成し、昨年11月に英国の「セント・アンドルーズ映画祭」で最優秀撮影賞を受賞するなど海外でも高く評価。劇場公開資金を募ったクラウドファンディングで目標額に達し、全国上映が決まった。

 制作のきっかけは、小谷監督が同大で担当していた映像表現の実習授業だった。この授業で小説を朗読する場面を撮影していたところ、「良い映像がどんどん撮れていった」と小谷監督。当時の学生たちが出演や撮影などを行って映画を制作することが決まったという。

原作者も登場

 主人公のひな子役に抜擢されたのは、当時同大の1年生だった渡辺雛子さん(25)だ。渡辺さんは小谷監督の授業の受講者で、「大きな瞳が印象的で、撮影したらとても絵になった」(小谷監督)と起用を決定。本格的な演劇などの経験はなく、「最初はカメラの前にただ立っているだけだった」という渡辺さんだが、「共演者の方々とご一緒する中で、少しずつ演技になってきた。主演という形で監督たちの議論を間近で聞けたのは面白い体験だった」と振り返る。

 本作の大きな特徴は、黒井さんの小説を原作としながらも内容は大きく異なるところだ。小谷監督は「小説の映画化と言うよりも、小説の『読書体験』を可視化した作品となっている」と解説。映画には、小説の作者である黒井さんが地域の住人役として登場し、主演の渡辺さんと語り合う独創的なシーンもある。

清志郎の名曲も

 ただ、武蔵野地域が舞台となっているのは小説と変わらず、作品名にも用いられる国立市や国分寺市、府中市を通る坂道「多摩蘭坂」も登場する。小説でも取り上げられた忌野清志郎作詞作曲の「RCサクセション」の楽曲「多摩蘭坂」も使われるなど、小説の読者にとってもなじみのある内容に仕上がっている。

 武蔵野文学館館長として、小谷監督とともに脚本づくりなどに当たった武蔵野大の土屋忍教授(日本近現代文学)は「都民も知らない『武蔵野』が多く登場すると思う。『未知だけれども懐かしい武蔵野』をスクリーンで見てほしい」と語る。

 本作出演をきっかけに俳優の道を進むことを決めた渡辺さんは「『たまらん坂』は私にとっての出発点。この映画を見た人が何かを受け取り、その傍らにこの物語が寄り添えたらうれしい」と話している。劇場公開は3月19日、新宿区の「K’s cinema」から順次始まる。詳細は、公式ホームページ(https://tamaranzaka.com/)で確認できる。

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