校則 私たちが決める 板橋の中学

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校内スマホ 生徒ら議論

 「スマートフォンを学校に持ち込みたい」「制服を着る必要があるのか」――。学校生活の疑問や要望から生徒が提案して校則を考える取り組みが板橋区の中学校で行われている。校長は「主体性を身につけるのが狙い」としていて、生徒も「決まりを自分で考えることで学校生活が充実して過ごしやすくなった」と手応えを感じている。(長嶋徳哉)

 今月16日の昼休み、板橋区立板橋第五中学校1年の女子生徒(13)は、ロッカーに入れていたスマホを取り出し、LINEで母親にこの日の習い事の予定を確かめた。当日に中止になることもある習い事で、以前は家に帰ってから確認するしかなかったが「中止なら放課後の学校の委員会に出られるなど効率的になった」と笑顔を見せた。

「ルール変えられる」実感

 同校でスマホが使えるようになったのは今月1日から。生徒の要望をきっかけに生徒会役員や学級委員14人でつくるプロジェクトチーム(PT)を結成し、昨年12月から議論を進めてきた。

 PTでは「登下校中」「授業中」「10分休み」「放課後(学校内)」など学校生活を場面ごとに分け、「歩きスマホをして登下校が遅くなる」「友達との会話や交流が減る」などスマホを学校に持ち込んだ時に起こりうる問題や解決策を話し合った。

 1月下旬まで5回の議論を重ねた結果、「保護者との連絡のみに使う」「昼休み以外はロッカーに入れる」などルールの素案が固まった。全校生徒や教員、保護者に素案を示した後、「ゲームや写真撮影に使わない」などが追記され、今月から運用が始まった。

 PTメンバーの3年の男子生徒(15)は「ルールは従うだけで変えられないという思い込みがなくなり、学校生活が変わっていく実感がある」と話した。

 下着の色を定めたり、茶色い地毛を黒く染めるよう求めたりする、いわゆる「ブラック校則」が社会問題化するのを受け、同校では2019年度から校則の改善に取り組んできた。校則への疑問があがるたびに、生徒や保護者にアンケートを取り、ホームページで結果を公表。多様な意見を共有したうえで、話し合いを進めてきた。

 生徒の髪は、以前の校則では「脱色、パーマ禁止」と明記されていたが、生徒や教員から「必要ないのでは」と意見があり、20年6月に廃止。変更後も特に校内で問題は起きていないという。

 新型コロナウイルス禍で、「マスクをすると暑い」「制服だと体温調整しづらい」という訴えがあり、制服も始業式などの学校行事に限った。現在も私服やジャージーで登校したり授業を受けたりすることが認められている。さらに、制服が高額なことから、新年度からはスーツなどふさわしい服装ならば行事でも制服を着る必要がなくなった。

 太田繁伸校長(60)は「これまでの校則が厳しかったのは、生徒を管理するための学校や教員の都合」と説明。「本当に必要かどうかを議論して必要がなければやめればいい。それが民主主義であると生徒に実感してもらうこともできる」と話した。

「自主的」見直し 各地で

 生徒たちが校則の見直しに参加する動きは、各地で広がっている。

 広島市の私立中高一貫校・安田女子中高は昨年度から校則の見直しについて生徒間で話し合うなどして、それまで禁止だったスマートフォンの持ち込みや下校時のカラオケやボウリング場などへの立ち寄りについて、今年度から条件付きで認める校則に改めた。

 同校の取り組みを支援したのは、教育関連のNPO法人「カタリバ」(杉並区)。2017年頃から、いわゆる「ブラック校則」是正の機運が盛り上がるなか、生徒や教員らが納得して校則を改められる道筋を示そうと、対話を通じた校則見直し支援事業を始めた。今年度は同校のほか、ドルトン東京学園中高(調布市)など全国11の中高と二つの自治体が参加している。

 文部科学省も、児童生徒の参加を後押しする。同省が昨年6月に出した校則の見直しを促す通知では、見直し方法として児童生徒が参加する例を挙げた。通知を受け、墨田区教育委員会は同年9月、児童生徒の話し合いを盛り込んだ校則変更の運用指針をまとめた。

 世田谷区立桜丘中学校の校長だった時に校則を撤廃した西郷孝彦さん(67)は、全国に広がる校則見直しの動きについて「生徒の自覚を促す良い取り組み。新しい時代の価値観を取り入れる柔軟さは学校現場にも必要だ」と話した。

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