西東京のNPOが「近況集」日常が幸せ伝えあい

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ジェフリーの渡辺理事長(左)から完成した近況集を受け取る東海さん。東海さんはジェフリーの交流会などを通じて地域に親しんだという(4日、西東京市で)
ジェフリーの渡辺理事長(左)から完成した近況集を受け取る東海さん。東海さんはジェフリーの交流会などを通じて地域に親しんだという(4日、西東京市で)

 11日で発生から11年となる東日本大震災では、住まいを失って避難した多くの被災者が、東北に帰還せず都内に移住した。コロナ禍で交流が難しくなる中、西東京市のNPO法人「生活企画ジェフリー」が今月、被災者やその支援者ら計34人のコメントを集めた「ひとこと近況集」をまとめた。皆のつながりを保ち、震災を忘れない――。24ページの冊子には、そんな思いが詰まっている。(広瀬誠)

 「以前はやり過ごしていた道端の小さな草花、 せみ の声、季節の移ろいにも耳や目を留めるようになりました」。コロナ禍の何げない日常の変化を近況集に寄せたのは、宮城県女川町から西東京市に移住した東海敬子さん(70)だ。

 2011年の震災による津波で夫を亡くし、自宅も流された東海さんは、被災から約3か月後に娘2人の自宅に近い同市で暮らし始めた。故郷の女川への思いは強かったが、交流事業などを通じて多くの友人に恵まれたことから、同市に定住することを決意。「今では『地元の人よりも地域のことを知っている』と言われるようになった」と笑う。

 ただ、新型コロナウイルスの感染が拡大した20年春からは、被災者や地域住民と会う機会はめっきり減った。そんな中、今月4日にジェフリーの渡辺美恵理事長(75)から完成したばかりの近況集を渡された東海さん。一読し、「西東京から離れた被災者も元気な様子がわかった。大切なご縁が続いていると実感できる」と 安堵あんど した様子で話した。

 都などによると、震災後に岩手、宮城、福島の3県から都内へ避難してきた被災者は、ピークの12年4月には9505人に上った。今年2月時点では3387人まで減ったが、関東では東京が最多だという。

 近況集を作成したジェフリーは同市の被災者支援事業を手がけたことを機に、12年から定期的に交流会を開催。会には被災者や地域住民、市職員など毎回15~30人ほどが参加し、食事を楽しみながら互いの近況を伝え合うなどしてきた。

 だが、新型コロナの感染拡大以降は交流会を開けない日が続いたため、「直接会えなくても日常を伝え合う場をつくりたい」と渡辺理事長が近況集の作成を発案。昨年7月に初めて近況集を作成し、かつての交流会の参加者ら約90人に送ると「じっくりと相手を思いながら読める」などと好評を博し、3月11日に合わせて2冊目の冊子を作成した。

 近況集では「『被災者』『支援者』などと色分けせず、同じ立場で報告し合う形にしたかった」(渡辺理事長)と、寄稿者の名前だけ記し、肩書や所在地はあえて示さなかった。旅行や野菜の栽培のことなど日常の報告が並ぶが、「当たり前のことが幸せだと震災の時と同じ思いになりました」「マスク姿はやっぱりさみしい。直接の笑顔が見たい」などと、コロナ下でお互いを気遣う言葉も目立つ。

 「震災がきっかけでも、新たな出会いが生まれたのは私たちにもうれしいこと。長く関係を保てるようにしたい」と渡辺理事長。ジェフリーはコロナが落ち着けば、すぐにまた交流会などの行事を再開するつもりだ。

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