完了しました


新型コロナウイルスワクチンの3回目接種について、都内自治体で接種率に差が生じている。入念に事前準備をした自治体は高い一方、接種を敬遠する若者の多さを低調の要因に挙げる自治体もある。上位の自治体でも最近は「頭打ち」になりつつあるといい、若い世代に接種してもらおうと様々な工夫を凝らし始めている。
■有効性PR奏功
都は毎週水曜日、区市町村別の12歳以上の3回目接種率一覧を更新している。12日時点の都内全体の接種率は51・8%。町村を除く区市別では、接種率が最も高かったのは多摩市の62・3%で、小金井市61%、狛江市60・4%と続く。一方、最も低かったのは世田谷区の45・9%で、府中市47・1%、羽村市47・5%の順だった。
接種率が高い自治体は、早めの準備やワクチンの有効性を積極的にアピールしたことが功を奏した。多摩市は、国が昨年12月中旬に3回目接種の前倒しを発表する前から、前倒しを想定して準備を開始。地元医師会の協力を得て、当初は今年2月中旬に予定していた3回目接種の開始を1月下旬に早めることができた。市の担当者は「市民の意識も高かった」と胸を張る。
3回目接種では、副反応を不安視する人が米モデルナ製ワクチンを敬遠する傾向がみられる。そこで狛江市は、副反応が出にくいとされる高齢者への接種に原則、モデルナ製を使うことにした。小金井市は、米ファイザー製との「交互接種」で高い効果が見込めると接種券に記入して、各世帯に発送。1、2回目でファイザー製を接種した市民にモデルナ製を打つように促した。
両市の接種率は6割を超えているが、3月下旬頃から接種予約の空きが目立つなど、ペースが鈍り始めているという。このため、小金井市は予約不要で接種できる会場を設けたほか、狛江市は来週、未接種の18~39歳の市民約9000人に対し、予約なしで接種を受けられる会場と日時を知らせるダイレクトメールを送付する。
■20~30代促進に力
一方、接種率が最低だった世田谷区。区の担当者は、区内に子育て世代が多いことを理由に挙げる。13日時点の区民の接種率は30歳代が31・3%、20歳代は26・6%にとどまり、「副反応を嫌う若者が一定数いることが数値の低さに影響したのでは」とみる。新年度で副反応が出ても新たな職場で休みをとりにくいことや、モデルナ製の副反応への不安感に配慮し、区は大型連休を含む21日~5月8日、ファイザー製の集団接種会場を3会場増やす。
同じく下位となった渋谷区も、区内に社員寮や学生寮が多数あり、人口に占める20~30歳代の割合が高い。同区でもこの世代の接種率が2~3割台と低く、区は今後、若者の利用が多い無料通信アプリ「LINE」を活用して、接種の効果や安全性をアピールしたい考えだ。
都は、大規模接種会場9か所で、大学などのクラスやサークル、ゼミなどの単位で接種を受けられるよう、今月11日から予約受け付けを始めた。都の中條堅一郎・新型コロナウイルスワクチン担当課長は「個人が毎回予約するのではなく、団体としてまとめて予約できるよう利便性を高めた。今後は大学側への働きかけも強めたい」と話した。