小中校8割建て替えへ 渋谷区、今後20年間で 一部一貫校再編、交流拠点化も

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児童・生徒が集い、新たな学びの場となる共有スペースのイメージ(渋谷区教育委員会提供)
児童・生徒が集い、新たな学びの場となる共有スペースのイメージ(渋谷区教育委員会提供)
国の登録有形文化財に指定されている広尾小
国の登録有形文化財に指定されている広尾小

 渋谷区は、区立小中学校全26校の8割超にあたる22校について、今後20年間で順次、建て替えを進める方針を決めた。一部は小中一貫校として再編することで教育効果を高めるほか、地域住民との交流を深めるために体育館や図書室などを開放。防災拠点としての機能も強化する。築90年で文化財に指定されている広尾小などについては、意匠や歴史の継承も検討していく。(渋谷功太郎)

廊下も「教室」に

 区教育委員会によると、建て替えの対象は小学校16校と中学校6校。このうち、千駄谷小と原宿外苑中、笹塚小と笹塚中、猿楽小と鉢山中は小中一貫校として統合再編する。将来的な児童・生徒の減少を見越しつつ、小中の9年間で一体的なカリキュラムを組むことで、より柔軟で効率的な指導ができる利点もある。

 新設校について、区教委は従来のように廊下に沿って教室を並べる構造ではなく、廊下や校庭などを含む学校全体が学びの場となるような施設とする考えだ。

 具体的には、クラス全体の授業から、数人ずつに分かれるグループ学習まで様々な規模での学びに対応するため、教室の四方に可動式のホワイトボードを設置し、教室と廊下の双方を学習スペースとして利用できるようにする。図書や通信環境を備え、子どもたちが主体的に集まって学べる共有スペースも設ける。

 学校を「地域の公共財」と位置づけ、体育館やプール、図書館や空き教室などを区民に開放することも検討していく。地域住民が集う場を創出するとともに、子どもたちと住民が交流できる機会も生み出す狙いだ。

 災害時の避難場所としての役割も重視する。避難所となる体育館には、冷暖房効率を高めるために断熱性の高い素材を使用する。断水や停電時にも利用でき、高齢者や障害者も使いやすいバリアフリー型のトイレも設置予定だ。

仮校舎を確保

 区教委によると、現在の校舎は1960~70年代にできたものが多く、21校が旧耐震基準下で建てられた。建築後、60年以上が過ぎているものも10校ある。補強工事によって耐震性は確保されており、区教委は改修も検討したが、老朽化が進んでいて費用に見合った長寿命化は難しいと判断した。

 神南小、広尾中、松濤中については、今年度から地元住民との協議と並行して設計の準備に着手する。

 1校あたり約3年にわたる建て替え期間中、学習活動に支障が出ないようにするため、区教委は青山病院の跡地や区スポーツセンターの一部のほか、校庭に仮設校舎を建設するなどして教室を確保する。通学距離が長くなる児童・生徒に配慮し、スクールバスの導入を含めた登下校時の安全対策も検討していくという。

 区の五十嵐俊子教育長は「多様な学びを実現し、一人ひとりに最良の教育を提供する教育施設を目指す」とし、「学校を核とした地域コミュニティーの充実も図っていきたい」と語った。

外観デザイン保存検討 広尾小

 建て替え対象校には、国の登録有形文化財に指定されている広尾小も含まれる。区教育委員会は2034年度にも解体を始める計画だが、地元住民や学校関係者、文化庁とも協議を重ね、広尾小の歴史や文化を残す形での新校舎設計を検討する。

 広尾小は1916年に開校。旧校舎が火災で全焼した後、32年に現在の校舎が建てられた。消防署の望楼(火の見やぐら)として使われた塔が屋上に立つ外観が特徴的だ。

 木田義仁校長は「地元に愛され続けるためにも、望楼などの象徴的なデザインは残してほしい」と望んでおり、区教委幹部も「児童にとって安心・安全な施設であることが第一だが、地域住民の意向もしっかり確認したい」と話している。

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