なぜ立川がウド収穫トップ? 

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出荷間近のウドを確認する鴻地さん
出荷間近のウドを確認する鴻地さん

 

 

関東ローム層栽培に好適

 独特の食感とすがすがしい香りが特徴のウド。東京は全国有数の産地で、立川市はその中核を担う。年間収穫量は都内産の3割にあたる50トン以上で、都内で最も多い。立川で栽培が盛んになった背景を調べてみた。

 「都内で生産される『東京うど』は、色白でシャキシャキ感が強く、みずみずしい」。立川の農家、鴻地文武さん(54)は胸を張る。

 ウドは、地下3メートルの「室」と呼ばれる穴蔵で育つ。収穫期の現在、ひっそりと出荷を待っているという。鴻地さんの案内で、穴蔵に下りてみた。

 穴蔵は身をかがめなければならないほど、天井が低い。温度は18度。湿度も高く、眼鏡のレンズが一気に曇った。鴻地さんは「この環境が高品質のウドを生み出す」と説明する。

 真っ暗な穴蔵を照らすと、真っ白なウドが目に飛び込んできた。密集して育ち、高さは約60センチ。天井に届きそうだ。

 穴蔵での栽培は、武蔵野市の農家が太平洋戦争中に考案した。東京うど生産組合連合会の元会長で立川の農家、須崎雅義さん(75)が「栽培の中心は武蔵野市だった」と教えてくれた。

 痕跡を求め、武蔵野市へ向かい、玉川上水に架かる「うどはし」を見つけた。橋は1965年の完成。特産地だった歴史を記憶に残すため命名されたという。

 立川で栽培が本格化したのは昭和30年代。須崎さんは「『嫁はやってもウドの種(根株)はやらん』という言葉があった」と振り返る。農閑期の冬場に出荷できる貴重な作物だったためだ。

 では、立川が都内トップの産地になったのはなぜか。須崎さんは関東ローム層と周辺の都市化を挙げる。

 立川の北部には関東ローム層が広がる。崩れにくい地質で穴蔵を掘りやすく、栽培農家が増えた。一方で、武蔵野市は高度成長期、宅地化で作付けを減らした。相対的に立川の生産量が多くなったという。

 しかし、立川より西側にも関東ローム層がある。「都市化を免れ、立川よりウドの栽培に適した地域もあったのでは」。そんな疑問に対し、須崎さんは「立川より西は畜産が盛んで農閑期がなかった。だから、栽培が広まらなかった」と推察する。

 農林水産省の統計では、2014年産ウドの収穫量は都道府県別で東京が4位。一般社団法人「東京都農業会議」によると、統計が残る07年産以降、立川は収穫量で都内トップを守り続けている。

 

お菓子やPRキャラに「進化」

ウドラと一緒にポーズを決める壽屋の杉山さん
ウドラと一緒にポーズを決める壽屋の杉山さん

 

 立川のウドは独自の「進化」を遂げている。立川商工会議所などが中心となり、約20年前からウドを具材に用いたラーメンなどを開発してきた。収穫量が都内1位に躍り出たことを機に始まったとされる。

 特産品の代表格が、土産物として重宝される「うどパイ」だ。刻んだウドがみそあんに混ぜられている。

 「うどパイは一度、途絶えたんですよ」。製造する和菓子店「立川伊勢屋」の社長、小林毅成さん(47)が語る。別の和菓子店が約20年前に考案したが、2015年に閉店したという。

 「やってもらえないか」。元店主から打診された小林さん。「なくなるのはもったいない」と応じ、レシピを引き継いだ。

 うどパイは16年春に復活した。小林さんは「なくなったらお客さんが寂しく感じる。しっかりと残さなくては」と強調する。

 ウドは立川のPRにも一役買う。ウドをモチーフとした怪獣キャラクター「ウドラ」だ。12年に市が行った公式キャラクターのコンテストでは、市民投票で次点に終わったが、イベントに出れば子どもたちに囲まれる。出演依頼が目白押しの秋には毎週末、着ぐるみ2体が稼働。市内にはラッピングバスが走る。

 仕掛け人の一人が、市内のフィギュア製造会社「壽屋ことぶきや」に勤務する杉山学さん(51)。コンテストの審査員を務めた際、「かわいらしくなく、とんがった感じ」に一目ぼれし、「民間発のキャラとして立川を盛り上げよう」と考えた。

 ウドラは「公認なりそこね」の称号で活動する。杉山さんは「立川はウドとの関わりが深い。立川の魅力を伝えるために、末永く活動を続けたい」と目を輝かせる。(中村守孝)

421166 1 東京探Q 2019/02/04 05:00:00 2019/02/04 05:00:00 2019/02/04 05:00:00 出荷間近のウドを確認する鴻地さん https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20190203-OYTAI50011-T.jpg?type=thumbnail

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