介護の現場貴重な担い手 

無断転載禁止
メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

入所者に話しかけるバオさん(左)(立川市で)
入所者に話しかけるバオさん(左)(立川市で)

資格取得支援■寮を完備 立川の施設定着へ環境整備

 介護の現場で人手不足が深刻だ。東京労働局によると、介護職の有効求人倍率は都内で昨年12月、7・46倍に達している。介護施設を取材すると、外国人材が貴重な担い手となっている実態が改めて明らかになった。(中村守孝)

 「きょうはバナナですよ。ゆっくり食べてください」。立川市の特別養護老人ホームで今年2月上旬、介護職員のダン・チャウ・ホアイ・バオさん(20)が入所する女性に語りかけた。そっと肩に手を置いて、おやつを差し出していく。

 バオさんはベトナム出身の留学生。昨年4月に来日した。日本語学校に通いながら週に28時間、アルバイトとして勤務する。当初は他の職員を手伝う程度だったが、入所者の食事やトイレの介助をこなせるようになり、入浴介助も訓練中だ。

 この特養を運営する至誠ホームでは、バオさんらベトナム人留学生10人と、スリランカとインドネシアからの技能実習生8人が働いている。ホーム長の旭博之さん(60)は「戦力になりつつある」と手応えを口にする。

 

 介護現場で外国人材を積極的に登用するようになった契機は、2017年9月の制度改正だ。留学生が国家資格の介護福祉士になった場合、「介護」の在留資格で長期間働くことができるようになった。同年11月には、技能実習生が介護現場で働ける仕組みが整った。

 それでも、都内の昨年12月の有効求人倍率によると、介護職では求職者1人に対し、単純計算で7か所以上の施設が採用を希望している。全職種を平均した有効求人倍率は1・93倍で、介護職の人手不足は突出している。

 介護職には、重労働や低賃金などのイメージがつきまとい、求職者数は低迷している。一方で入所希望者が増加し、担い手の不足に拍車をかけている。

 至誠ホームでは入所者の環境を改善するため、運営する4か所の特養のうち1か所で、相部屋で暮らす入所者を少人数化した。この1か所で受け入れ人数が減ることなどから、今春には特養を新設する予定だ。この結果、新たに20~30人の職員が必要になるという。

 人手不足の解消で期待されるのが、4月施行の改正入管難民法だ。政府は新たな在留資格「特定技能1号」を創設し、今後の5年間で介護職に就く外国人材を最大6万人と見込んでいる。

 

 至誠ホームでは、留学生らが介護福祉士の資格を取得できるよう学費などの費用を支援している。寮も完備し、日本語の初心者でも理解できるイラスト付きの介護入門書を作成した。ゴミ捨ての分別なども教えている。

 旭さんは「日本人を雇う以上のコストがかかっている」と打ち明ける一方、「外国人がいないと(施設運営が)回らない」とも強調する。バオさんらには、後進の指導役に成長することを期待している。

 バオさんも、旭さんの思いを理解している。新年度から、介護福祉士の養成校に通う予定だ。「日本で学ぶことは多く、給料もいい。資格を取って長く働きたい」と意気込んでいる。

 「人に感謝される介護職の魅力や、介護福祉士の資格を取れば長く日本にいられることが十分に理解されれば、外国人は定着していくだろう」と旭さん。教育を充実させ、働きやすい環境を整備していく方針だ。

512160 0 ニュース 2019/03/29 05:00:00 2019/03/29 05:00:00 2019/03/29 05:00:00 特別養護老人ホームの入所者に話しかけるバオさん(左)(立川市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/03/20190328-OYTNI50017-T.jpg?type=thumbnail

アクセスランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ