和太鼓人を笑顔に

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演奏会に向け、生徒たちとともに練習に励む高山さん(左)(4日、町田市で)
演奏会に向け、生徒たちとともに練習に励む高山さん(左)(4日、町田市で)

原発避難者の高山さん 町田で教室主宰自ら学ぶ 13日に10回目発表会

 東京電力福島第一原子力発電所の事故で、福島県大熊町から町田市に避難している高山恒明さん(63)が主宰する和太鼓教室「TAIKO―LAB町田」の演奏会が13日、町田市民ホールで開かれる。教室の生徒たちによる恒例の発表会で、2013年5月の教室開設から6年余を経て、10回目の節目を迎える。

 高山さんは大田区出身で横浜市育ち。スーパーや百貨店などで勤務した後、1989年に大熊町でそば店を開いた。妻の真由美さん(59)が福島県南相馬市出身で、「多少なりとも土地鑑がある」(高山さん)というのが理由だった。

 開業から3年ほどは、開店前から予約で埋まるほど繁盛した。店は福島第一原発から西に約5キロの場所にあり、東京電力の社員らが取引先の人と一緒に来ることも多かった。仙台市や福島県いわき市、郡山市など町外からも客が訪れる人気店だった。

 11年3月の東日本大震災では、店の建物はひびが入った程度だったが、食器類は激しい揺れで棚から飛び出して壊れ、使えなくなってしまった。さらに原発事故が起き、真由美さんと一緒に、埼玉県内の知人宅などを経て、同県越谷市に避難した。震災ボランティアが被災者に無償で貸してくれるマンションの一室が見つかり、そこで暮らすことになった。

 原発事故の避難者らを臨時職員として受け入れていた越谷市に採用され、約1年半、自分と同じ避難住民の悩みを聞く仕事をしたが、その間、大熊町は大半が帰還困難区域に指定され、避難生活のストレスからか味覚障害にもなった。「だしの味も香りも全く分からなくなってしまった」と振り返る。

 大熊町に戻って店を再開する見込みがなくなったうえ、臨時職員の任期も限られていた。新たな仕事を探し始めたときに偶然見つけたのが、「太鼓センター」(本社・京都市)が全国展開している和太鼓教室の運営だった。和太鼓とは全く縁がなかったが、「年齢や体力を考えると、ハードな仕事は難しい。音楽は好きだし、自分にもできるのでは」と考えた。

 12年10月に、都内であった同社の説明会に出席。真由美さんと一緒に、実際に太鼓をたたく体験もした。ばちを握ったのは1時間足らずだったが、避難生活で気持ちが沈みがちだった妻の笑顔を目の当たりにし、無心に太鼓をたたいている自分にも気づいた。「和太鼓で人は笑顔になれる。大げさかもしれないけれど、世の中の役に立てる仕事だと思った」という。

 同社とフランチャイズ契約を結び、町田市で「TAIKO―LAB町田」を開いたのは13年5月。講師は太鼓センターから派遣を受け、生徒数は現在、小学1年生から70歳代までの約110人に上る。高山さん夫妻も、生徒として和太鼓を学んでいる。

 演奏会では、習熟度や年代ごとのクラスに分かれ、20曲余りを披露する。高山さん夫妻も出演する予定だ。

 高山さんは「人生の節目で和太鼓と出会い、生徒たちとのご縁もできた。和太鼓は奥深くて、元気がもらえる楽器だし、その魅力を感じてもらえれば」と話している。

 演奏会の開演は午後2時半。入場無料。玉川大芸術学部の学生もゲストとして招かれ、和太鼓と創作民俗舞踊を演じる。当日先着約700人だが、予約もできる。問い合わせは、高山さん(080・5953・4027)へ。

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837742 0 ニュース 2019/10/10 05:00:00 2019/10/10 05:00:00 2019/10/10 05:00:00 演奏会に向け、生徒たちとともに練習に励む高山さん(左)(4日、町田市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/10/20191009-OYTNI50037-T.jpg?type=thumbnail

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