48世帯孤立 山道が命綱

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日原地区に行くために通る山道
日原地区に行くために通る山道
(上)町などから支給された食料を自治会のメンバーが各家庭に配る(下)自宅の玄関先で住民の血圧を測る保健師
(上)町などから支給された食料を自治会のメンバーが各家庭に配る(下)自宅の玄関先で住民の血圧を測る保健師
(上)町などから支給された食料を自治会のメンバーが各家庭に配る(下)自宅の玄関先で住民の血圧を測る保健師
(上)町などから支給された食料を自治会のメンバーが各家庭に配る(下)自宅の玄関先で住民の血圧を測る保健師

台風被害 奥多摩・日原ルポ

 東日本を直撃した台風19号で、奥多摩町は都道が崩落し、日原にっぱら地区の48世帯82人が孤立状態となっている。16日、被害の状況や住民の生活を日原地区で取材した。(長嶋徳哉)

 都道204号の崩落現場は、道路下を通る水道管が折れ、むき出しになっていた。

 日原地区は、ここから約6キロ先にある。崩落場所を迂回うかいして向かうには、山道を抜けて行かなければならない。

 山道には鉄パイプなどでつくった手すりがあるが、片側は急な崖。道はぬかるんで泥のようになっていた。

 山道を15分ほどで抜けると都道に戻るが、地区にたどり着くためには、そこから徒歩で、さらに約1時間半ほどかかる。

 地区の中心には、2階建ての「日原生活館」がある。簡易郵便局も入り、物資の配布や集会を行う自治会の拠点だ。同館の前には自治会メンバーの約10人が集まり、町から無償で支給された食料を住民に配布する準備を進めていた。

 ネギやキャベツ、卵などをポリ袋に小分けにして車に積み込む。各家庭に食料を配りながら、車の燃料や風呂、ストーブで使う灯油が不足していないかも聞き取って、町に要望を伝える。町職員が地区へ物資を運ぶ際には、地区住民らに電話で連絡を取り、山道の出口まで車で迎えに来てもらう。

 灯油やガソリンは、町の備蓄から無償で提供される。灯油40リットルほどを頼んだ男性(66)は「私たち高齢者があの山道を灯油を担いで来られるわけがないし、本当に助かる」と、ほっとした表情を浮かべた。

 地区では、停電は解消されたものの、約50戸が断水している。ある女性(81)は町からの支給などで飲み水は確保しているが、12日以降一度も風呂に入れていない。15日には蛇口から少しだけ水が出たため、バケツに水を3回ためて、台風以降初めて洗濯機を回せたという。

 町から派遣された保健師の女性3人は、手分けして高齢者の体調や薬が足りているかなどを聞き取っていた。「ひざは痛くないですか」「高血圧の薬はちゃんと飲んでる?」。保健師は細かく質問し、回答をメモした。

 日原地区には鍾乳洞があり、紅葉の時期には多くの観光客でにぎわう。どうなったのか気になり、鍾乳洞を目指すことにした。山々はわずかに黄色く色づいているだけで、紅葉の見頃には、まだ時間がかかりそうだった。

 鍾乳洞に近づくにつれ、台風の爪痕があちこちに残っているのを目にした。石や木の枝が散乱し、山の斜面の下の方は5メートルほどの高さで削りとられていた。近くを流れる川には、大量の流木がひっかかっていた。鍾乳洞入り口の手すりは壊れ、すぐ近くに長さ2メートル、直径50センチほどの木があった。

 都によると、地区の断水は数日以内に解消される見込みだが、都道の復旧には数か月かかるという。

 5年前の冬、都道が雪に埋もれて通行止めとなり、地区は孤立状態になったことがある。その時も住民は食料を近所で分け合うなどして助け合った。

 日原地区で生まれ育った男性(56)は「ここの住民は、手を取り合って生きてきた。今回もきっと乗り越えられる」と話した。

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848942 0 ニュース 2019/10/17 05:00:00 2019/10/17 05:00:00 2019/10/17 05:00:00 日原地区に入るために通る迂回路の山道(10月16日午後4時15分、東京都奥多摩町で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/10/20191016-OYTNI50038-T.jpg?type=thumbnail

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