受験生同士 エール届け
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中3生の言葉つなぎ歌に 東大和の講師・箱崎さん
東大和市立第五中学校で社会科の非常勤講師を務める箱崎作次さん(66)が、コロナ禍の中で受験に臨む3年生の言葉を紡いで歌詞にした歌「Get your Dream」を作った。不安を抱えながらも、目標に向かってひたむきに頑張る生徒たちの思いが詰まった作品に仕上がり、箱崎さんは「同じ思いを持った全国の受験生に聞いてほしい」と話している。(松本勲)
今年度は新型コロナウイルスの影響で長期の臨時休校などがあり、各学校は授業時間の確保や学習内容の充実化に苦労した。そんな状況でも、新年を迎えて受験日は刻々と迫っている。
作詞が趣味で、これまで約40曲を手がけてきた箱崎さんは昨年12月、2学期最後の授業で3年生に呼びかけた。「君たちも含めた受験生の応援ソングを作らないか。自分の思い、叫びを率直に言葉にしてほしい」。生徒たちに紙を渡すと、「特別で誰も経験していない受験」「不安な気持ちを楽しみに変えよう」など、若者の感性で現状を捉えた約80点もの言葉が集まった。
箱崎さんはこれらの言葉をつなぎ、生徒に対する自身のエールも交えながら、2日間で3番までの歌詞の初稿を書き上げた。生徒に披露すると「歌詞だけで元気が出た」「曲になるのがとても楽しみ」などの声が相次いだ。
作曲は、福島県伊達市在住で、中学校の音楽教員を務める佐藤香さん(57)に委ねた。2人は箱崎さんが2011年、東日本大震災で被災した宮城県石巻市でのボランティア経験をつづった歌の作曲を、同じ被災地に住む佐藤さんに依頼したことをきっかけに、音楽仲間として交流が続いている。
首都圏に緊急事態宣言が再発令された翌日の今月8日、佐藤さんから、楽曲が録音されたCDや楽譜が届いた。1番はややマイナーな雰囲気だが、2番から3番にかけて明るくなり、前を向いて走り抜けるような爽快感が伝わるメロディーだ。
そして18日、3学期最初の授業を終える前に、箱崎さんは「1週間かけて練習をしてきた」と前置きし、生徒の前で生歌を披露した。突然の先生の熱唱に生徒からは拍手が巻き起こり、「歌を聴いて勇気をもらえた」などの感想も寄せられたという。
箱崎さんは「私が作る歌詞は『堅苦しい』と言われることが多いが、生徒たちのおかげですばらしい作品ができた。全国の受験生の応援ソングになればいい」と話している。
歌は動画投稿サイト「ユーチューブ」で「箱崎作次」と検索すれば視聴できる。