地域

「歌う公務員」CD制作 小平市職員の市川さん

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地域の大切さに思いはせ

「アルバムを聴いて『つながり』の大切さを感じてほしい」と語る市川さん(21日、小平市で)

 「歌う公務員」として地元で絶大な人気を誇る小平市職員の市川裕之さん(49)が、ついに自主制作のCDアルバムをリリースした。新型コロナウイルスが猛威を振るう今、改めて気づかされた地域の大切さに思いをはせ、7曲を歌い上げた。市川さんは「街が前向きになる力になればいい」と願っている。(柳沼晃太朗)

アルバムのジャケット

街とのつながり

 アルバムのタイトルは「φ(ファイ)」。空集合を表す記号とされ、市川さんは「コロナで気持ちが『からっぽ』になる中、思い出したのは歌を通じた街とのつながりだった。その大切さを伝えたい」と話す。

 親しい人と会いにくい状況でのさびしさを吐露するなど自身の思いを盛り込んだ曲が中心だが、地元商店街を応援するアップテンポの「黄昏たそがれ学園坂パンク」、昨年は中止だった市内のビール祭りをイメージした「オクトーバーに逢いましょう」といった曲も含まれている。

飲食店も応援

 市川さんは、高校時代にバンド活動を始めた。得意のギターを生かし、約10年前からは「Big市川」として活動を再開。特産のブルーベリーや市内に多い「丸ポスト」などを曲に盛り込み、果ては飲食店を応援するために「小平プリンサイコー!」と連呼する曲も手掛けてきた。

 市内の飲食店や観光イベントでこうした曲を披露すると、地域の反応は上々。地元で評判が広まり、観光サイト向けに作ったミュージックビデオには市民が出演してくれた。自身の子どもが通う小学校からは創立50周年の記念曲を作成してほしいと依頼された。「歌は気軽に街の良さが伝わる。多くの仲間とのつながりもできた」と振り返る。

 そんな中で、さらに腕を磨こうと、約5年前に師事したのが、ギタリスト坂元昭二さん(67)だった。坂元さんは歌手さだまさしさんのツアーに長年同行してきた。市川さんは都心の教室に月1回通い、弾き方から歌声の出し方までプロの技術をたたき込まれた。

今の気持ちを曲に

 この1年間、大好きな街はコロナに苦しめられてきた。観光イベントはほぼ中止。ステージに立たせてくれた店舗も時短営業などで苦境に陥っている。

 「地域とのつながりが消えていく気がして……」と落ち込む市川さんに、師匠の坂元さんが声をかけた。「よい音楽は作れるだろう。今の気持ちも曲にしてみろ」。直接歌を披露できなくても、CDで地域への思いを届けたいと制作を決意した。

 現在は教育総務課で勤務。業務が落ち着いた昨年末から、坂元さんらとスタジオにこもった。「販売する以上、中途半端にはできない」と最初の2日間は演奏もせず、曲の方向性を議論。ギターの音色と歌声のバランス、歌詞の一文字一文字まで試行錯誤を続けた。オルガンやハープの音を加える工夫も凝らし、約3か月で完成した。

 市川さんは「曲を通じて、悩んだり、孤独を感じたりしている人を元気づけることができればうれしい」と話している。

 アルバムは税込み2000円。小平市の飲食店に加え、立川市や武蔵村山市の楽器店で販売する。公務員の市川さんは報酬は受け取らない。詳細は、音楽活動や地域の魅力を紹介するサイト「こだいら奏でるマップ」(https://kkanaderumap.wixsite.com/kodaira)へ。

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