触る碁盤 改良の一手

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

新型アイゴツーの9路盤を手にする柿島さん。手前は19路盤(町田市の町田囲碁サロンで)
新型アイゴツーの9路盤を手にする柿島さん。手前は19路盤(町田市の町田囲碁サロンで)

 

新型軽量化 大学、施設と連携

目が不自由な人にも囲碁を広めようと、日本視覚障害者囲碁協会(町田市)と大学、障害者の就労支援施設が連携し、視覚障害者用の碁盤「アイゴ」の改良版を完成させた。同協会は、改良版の碁盤を全国の特別支援学校などに届ける計画を進めており、寄付サイトで支援を募っている。(長内克彦)

 「新型アイゴツー」と名付けられた碁盤は、木に近い材質のMDF(中質繊維板)という板をレーザーカッターで裁断して製作する。プラスチック製のアイゴより軽くて持ち運びしやすく、盤面の線も黒く塗装することで、弱視の人や高齢者にも見やすく改良され、デザインも一般の碁盤に近づけることができた。同協会代表理事の柿島光晴さん(44)は「囲碁は盤上で誰もが対等に戦えるゲーム。視覚障害者の囲碁人口を増やしたい」と期待する。

 25歳で囲碁を始めた柿島さんがアイゴに出会ったのは、20代後半で出場した関西で開かれた視覚障害者の囲碁大会の時。盤の線が立体的に盛り上がっているアイゴは、全盲の柿島さんでも盤面がイメージしやすく、碁石も触って白黒がわかるほか、切れ目のおかげで盤に固定することもできた。使いやすさに驚く一方で、アイゴの金型は朽ち、在庫がほとんど残っていないことを聞いた。

 柿島さんは視覚障害者への囲碁の普及を進めるため、福岡県の業者の協力でアイゴの金型を復活させ、2013年12月、製造再開にこぎつけた。こうした柿島さんらの活動をインターネットで知った神奈川大の学生たちが、アイゴの進化に向けて力を貸してくれることに。同大経営学部の道用大介准教授や教え子らの協力で、19年4月にMDF素材のアイゴツーが完成した。

 さらなる改良を求め、柿島さんたちは改善点の模索を続けた。コロナ禍で対面での話し合いはできなかったが、ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」やメールで意見交換を重ね、今年10月に新型アイゴツーが誕生。9路盤、13路盤、19路盤の3種類あり、最も大きい19路盤(幅44センチ、奥行き46センチ)は、パズルのように4ピースに分解できるため、コンパクトで持ち運びも簡単だ。製造・販売は、神奈川県平塚市の障害者就労支援施設「しんわやえくぼ」が担当している。

 碁盤の改良を進める一方で、同協会は碁石海岸のある岩手県大船渡市で17年から全国盲学校囲碁大会を開催するなど、視覚障害者への囲碁の普及活動を進めてきた。20、21年はコロナ禍で全国大会は開けなかったが、同協会は新型アイゴツーを全国の特別支援学校や視覚障害者団体に贈ることを決め、寄付サイト「Syncable(シンカブル)」で14日まで支援を呼びかけている。すでに寄付額は当初目標にしていた15万円を大きく超えたため、35万円を目標額に設定した。

 柿島さんは「囲碁は、視覚障害者がマインドマップ(脳内地図)を描く訓練になるので広めていきたい。人と人の出会い、交流にも役立つ」と話している。

 新型アイゴツーと碁石のセット価格は、9路盤(税込み2700円)、13路盤(同4320円)、19路盤(同7560円)。問い合わせは、しんわやえくぼ(0463・34・8150)へ。

スクラップは会員限定です

使い方
「地域」の最新記事一覧
2510985 0 ニュース 2021/11/11 05:00:00 2021/11/11 08:26:18 2021/11/11 08:26:18 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/11/20211110-OYTNI50051-T-e1636586773737.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)