「こくベジ」農家と店結ぶ

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(上)収穫したばかりの野菜を農家の中村さん(右)から受け取る奥田さん                                                                       (下)国分寺産のブロッコリーを使ったいため物を作る落合さん(いずれも国分寺市で)
(上)収穫したばかりの野菜を農家の中村さん(右)から受け取る奥田さん                                                                       (下)国分寺産のブロッコリーを使ったいため物を作る落合さん(いずれも国分寺市で)

 

メニュー企画 参加店5倍

国分寺市内で収穫された野菜や果物を使ったメニューを提供する「こくベジプロジェクト」に参加する市内の飲食店が、開始から5年で約5倍の100店舗近くまで増えた。地域の農業の歴史を売りに地場産野菜の消費を促す取り組みが浸透したほか、農家と飲食店をつなぐ市民の存在も、輪を広げる力となっている。(柳沼晃太朗)

◆新鮮野菜ジュッ

 ジュッと音を立て、中華鍋の中で鮮やかな緑色のブロッコリーがエビと絡まる。11月下旬、国分寺駅近くの中華料理店「チャイニーズレストラン オトメ」の調理場では、オーナーの落合芳光さん(71)が「房から茎まで、食べ応え抜群。こんなに良い野菜に、地元で出会えるとは」と笑顔で鍋を振っていた。

 ブロッコリーは約2キロ離れた市内の農家中村秀雄さん(61)の畑で朝取れたばかり。住宅街にある畑は決して広くないが、甘みが特徴の「チヂミホウレンソウ」や小ぶりな「ミニダイコン」など、育てる野菜は年間約50種類に及び、市場にはあまり出回っていない珍しい野菜も手がけている。

 中村さんは「使ってくれる人、味わってくれる人が近くにいる。励みになります」と目を細める。

◆チェーン店も

 プロジェクトは国の交付金を使って2016年に開始。当初はご当地グルメの創作が検討されたが、市内の飲食店は和洋中と幅広く、共通するメニューの提供は難しかった。そこで目を付けたのが「農業の歴史」だ。

 原野だった市周辺は江戸時代の新田開発政策で開拓され、農地が増加。市によると、19年度の総土地面積に対する農地の割合は11・9%で、都内(島除く)では清瀬市、瑞穂町に次ぎ3番目に多い。その歴史を前面に出し、地場産野菜を「国分寺三百年野菜 こくベジ」としてブランド化することにした。

 参加店は原則年間を通じて、こくベジを使ったメニューを出し、提供店舗は特設サイトや観光パンフレットで紹介されている。地域のチェーン店も参加しているのも特徴の一つで、参加店は当初の22店舗から、現在は95店舗に増えた。

 国分寺駅の商業施設「セレオ国分寺」では、現在7店舗がこくベジのメニューを提供している。既存の仕入れルートがあり、独自の開発経費もかかるが、セレオの運営会社が地域活性化の意義を説明したところ、多くの店舗が賛同。国分寺でしか食べられない限定メニューゆえに、人気で完売することもあるという。

◆つなぎ役は市民

 農家や飲食店が普及のキーマンと口をそろえるのが、NPO法人「めぐるまち国分寺」の奥田大介さん(47)だ。週2、3回、ワゴン車で約15軒の農家を回り、市内の飲食店へ取れたての野菜を届けている。かつては市内の新聞販売店で配達や営業を担当した経験もあり、「おかげで飲食店の位置や近道がよくわかる」と笑う。

 奥田さんらの“輸送”により、多忙な飲食店が直売所などに行くことなく、食材の仕入れができる。また、多い日には約40店舗で注文を取る中、時期ごとにシェフらが求める野菜の特徴を農家に伝える役割も担う。奥田さんは「こくベジを通じて、これからも地域の多くの人を結びつけていきたい」と意気込んでいる。

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2617738 0 ニュース 2021/12/22 05:00:00 2021/12/22 09:18:52 2021/12/22 09:18:52 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/12/20211221-OYTNI50061-T-e1640129884884.jpg?type=thumbnail

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