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全日本大学大会連覇へ一丸
多摩大フットサル部が今年5月、創部から10年を迎えた。2019年に初の大学日本一に輝くと、翌年以降も全国的な大会で優勝。日本フットサルリーグ(Fリーグ)にも多くのOBを送り込み、日本代表で活躍する選手もいる。強豪に成長したカギは、国内の
全国屈指の実績
フットサルは1チーム5人で、サッカーより狭いコートで対戦する。攻守の切り替えがサッカー以上にめまぐるしく、一瞬の隙を突いて得点するスピード感が魅力の競技だ。12年5月に創部されたフットサル部は、19年に日本サッカー協会主催の「全日本大学フットサル大会」で初優勝。コロナ禍で同大会が中止された翌年以降も、同規模の全国大会を2度制するなど、全国屈指の実績を残している。
約10年前、系列の中学、高校がサッカーの強豪校に成長したこともあり、大学でもサッカー部を創設する案が浮上。だが、グラウンドの確保が難しいため、屋内スポーツに対応したアリーナを活用できるフットサル部を作ることになった。
監督は「先駆者」
当初から部を率いるのは、競技発展に汗を流した先駆者の一人として知られる福角監督だ。フットサル未経験者が集まる中、足裏を多用するフットサル特有のボールの扱い方や、攻守の切り替えの動きを一から指導した。創部3年後の15年には全日本大学フットサル大会で4強入り。大学側もフィジカルの専門コーチらを招いて強化を図った。
ただ、目標の日本一に向けて大きく変わったのは、福角監督自身の部員との接し方だった。かつては「トップダウン」で、厳しい言葉の指導もあったが、試合展開がめまぐるしく変わるフットサルは、部員自身の瞬時の判断力が重要となる。「監督の顔色をうかがいプレーするチームは良くない」。自主性を重視し、普段の練習メニューの作成も部員に任せるようになった。
福角監督は「学生の自主性に、専門的技術を自分が伝えられるのが、多摩大の強み。ここに気づき、19年の大学日本一で、チームの『形』がようやく完成した」と語る。
現チームは1~4年の22人。練習は曜日ごとに攻撃や守備で重視するテーマを設定し、詳細なメニューは4年生を中心に部員が決める。ホワイトボードでポジションや動き方を確認し、時には下級生も意見する。サッカーのゴールキーパーにあたる「ゴレイロ」の能嶋昭登主将(4年)は「普段から自分たちで考えるクセがついていれば、試合中のどんな局面にも対応できる」と話す。
OB、Fリーグで活躍
Fリーグには現在、15人ほどの元部員が在籍している。在学中からチームに誘われ、部を辞めて加入するケースも。その一人で1年生まで部員だった、リーグ1部・バサジィ大分所属の本石猛裕選手(22)は先月、アジアカップの東地区予選に臨む日本代表に選出され、ゴールを挙げる活躍を見せた。福角監督には時折、Fリーグの試合会場で元部員同士が撮影した写真が送られてくるといい、「いつか全国を回ってあげたい」と笑う。
今年は、3年ぶりに全日本大学フットサル大会が開催され、今週末にはその予選となる関東大会が控えている。「連覇を目指してチーム一丸で勝ちにいく。大学から競技全体の底上げを図りたい」。福角監督はそんな使命感を抱きながら、選手とともにさらなる高みを目指していく。