純米酒 燗がオススメ
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鳥取の日本酒
番外編
地酒をこよなく愛し、県内の酒蔵からも「鳥取にこの人あり」と一目置かれている酒店主がいる。100年前から続く
――お薦めの飲み方は。
初めて飲む日本酒は、色々な飲み方を試すとよい。同じ蔵の同じ銘柄でも、ワインのように、年によって出来栄えが違う。
鳥取の純米酒は、米のうま味がしっかりとあらわれているものが多いので、
燗冷ましという飲み方もある。40度に温めた酒と、60度まで上げてから40度に冷ましたものとでは、味わいも変わる。
温め方は湯煎がベスト。自宅なら電気ケトルに容器を入れて温めてもいい。手っ取り早く加熱したい時は、レンジを使ってもおいしく飲める。
――酒が弱い人でも楽しめる方法は。
水を加え、度数を下げる「加水」という方法がある。アルコール度数が下がるだけでなく、きりっとした酸味のある酒ほど、加水した時にまろやかになる。加水は、原酒といわれる比較的度数の高い酒ですることが多いが、そうでない酒でも試してもらいたい。
――保存法は。
生酒といわれる日本酒は、「火入れ」という加熱処理をしておらず、品質が変わりやすいので冷蔵保存をしなければならない。火入れをした酒は、常温保存で問題ない。長期間保存する場合は、日が当たりにくい北側の押し入れの奥や床下にでも入れておくと、温度変化が少なくて済む。
――甘すぎたり辛すぎたりと、自分の好みと違った場合、どうすればいいか。
自分でブレンドしたらよい。酸や甘味、辛味などが突出しすぎていると感じたら、他の酒と混ぜてみる。酒蔵でも、ブレンドすることはある。日本酒というと、襟を正して飲む人もいるが、そうした遊び心を持って楽しんでもらいたい。
<やまます・しゅんじ> 1963年、倉吉市生まれ。立命館大を中退し、21歳の時にUターンして、実家の山枡酒店で働き始めた。県内の酒蔵を紹介した本「とっとり酒蔵散歩 旨(うま)し酒醸す国を訪ねて」(米子今井書店)の監修を担当。燗酒を提供する「お燗番」として全国の日本酒イベントに参加したり、県内外の日本酒ラベルのイラストを描いたりすることもある。「がんこ酒屋」を自称し、保存の仕方などが悪いと、客にも厳しい言葉をかける。また、店内にある酒の値札には「空気を含ませるとプリンスメロンのような味があらわれる」「淡い山吹色。バナナをベースに黒糖とわずかに昆布だしが混ざる薄い熟成香」といった、こだわりのコメントが記されている。