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黒坂地区自主防災委員会の訓練で、簡易間仕切りを組み立てる参加者(昨年10月、日野町で)
黒坂地区自主防災委員会の訓練で、簡易間仕切りを組み立てる参加者(昨年10月、日野町で)
非常持出袋を手にする御来屋10区自主防災会長の岩波さん(大山町で)
非常持出袋を手にする御来屋10区自主防災会長の岩波さん(大山町で)

防災

自主防災組織

 地震、津波、原発事故が甚大な被害をもたらした東日本大震災から10年が過ぎた。県内でも近年、県西部地震(2000年)と県中部地震(16年)の2度の大きな地震に見舞われ、大雨や大雪なども頻発する。災害から命と暮らしを守る取り組みを取材した。

■住民同士 助けあう

 2000年10月6日。日野町黒坂の福田和也さん(85)は、自宅の池で飼っているコイに餌を与えていた。午後1時半、突然ゴーッという音がして激しい揺れに襲われた。池から頭の高さまで水柱が噴き上がった。棟瓦がつながったまま屋根からずれ、まるで大蛇おろちのように見えた。壁も一部が崩れた。

 自宅は数年前に建て替えたばかりで、つぶれることはなかった。夜は家族4人で過ごしたが余震が何度もあり、あまり眠れなかった。「とにかく恐ろしかった。近所では、家が傾いて庭先や車で寝た人も多かった」

 同町や境港市で震度6強を記録した県西部地震。マグニチュードは7.3で、県内の負傷者は141人、全半壊家屋は2888棟に上った。黒坂地区でも墓石が倒壊したり、家財道具が散乱したりする被害が相次いだ。住民はどこに、どう避難していいのかはっきりしておらず、非常食や水の用意も十分でなかった。

 「備え」ができていなかったことを教訓に、02年に地区に自主防災委員会が設立され、自治会役員だった福田さんが初代の会長となった。

 16自治会でつくる同委員会は、消火、避難誘導、給食給水など役割分担を明確にした5班が災害発生時の実動部隊となる。公民館にある防災倉庫には飲料タンクや消火用ポンプ、炊き出し用の釜など様々な資機材をそろえ、避難経路を記した地図を作った。防災を啓発する広報誌を年1回発行している。

 毎年の「10・6」に合わせた避難訓練も重ねる。昨年の訓練では新型コロナウイルス対策を意識し、簡易防護服の着用方法や避難所での密を避けるための簡易間仕切りの組み立て方を学んだ。

 現会長の和田佳洋さん(79)は「いざという時に行政だけに頼るのではなく、住民で助け合える組織があるのは心強い。コロナ対策も工夫しながら住民の連帯感を高めていきたい」と力を込める。

■全世帯に「持出袋」

 大山町御来屋みくりや地区。日本海に面しており、津波への警戒感が強い。御来屋10区自主防災会は、毎年のように6月に津波を想定した避難訓練をしており、その時に参加者が背負うのが「非常持出袋もちだしぶくろ」だ。笛、LEDライト、携帯ミニトイレ、アルミシート……。会長の岩波宏承ひろつぐさん(80)の持出袋には、様々な物品が詰め込まれている。

 06年に発足した防災会は、その約2年後には全22世帯に持出袋を配った。8月には中身を点検するよう放送で呼びかける。物品は順次追加配布し、岩波さんは独自に乾パンやタオル、下着なども入れている。

 「災害が起きた時は何を持って出たらいいか考えるゆとりはない。その時に持出袋が役立つ」。岩波さんは、いつでもよく見えるようにと自宅のタンスの上に置いている。

■普段の声かけ 大切

 県消防防災課によると、県内の自主防災組織は2454(20年4月1日現在)ある。ただ、熱心に取り組む組織がある一方、活動が形式的になっていることも多いという。

 とっとり県民活動活性化センター(倉吉市)の主任企画員で、県の自主防災活動アドバイザーでもある白鳥孝太さん(48)は「組織をつくったものの、『何から始めたら良いのか』という声もある」と指摘。「学校や企業などと一緒に避難訓練を行うとか、地域の祭りや催しの中で防災講座を開くなど工夫することで参加者の幅を広げることができる。ご近所での声かけなど、普段からの『顔の見える関係』も大切」とアドバイスを送る。(但見易史)

 「Newニューもん@鳥取」3月シリーズは「防災」をテーマに連載します。

 <自主防災組織> 自治会や町内会などを単位にした任意組織。総務省消防庁の手引には「『自分たちの地域は自分たちで守る』という自覚、連帯感に基づき、自主的に結成する組織」と記されている。阪神大震災(1995年)を機に組織化が進み、市町村から補助を受けて、防災資機材を整備したり訓練を行ったりしている。全世帯に対し、組織されている地域の世帯数の割合を示す県の「組織率」は92.3%で、全国平均(84.3%)を上回っている。

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1906888 0 New門@鳥取 2021/03/13 05:00:00 2021/03/13 05:00:00 2021/03/13 05:00:00 黒坂地区自主防災委員会の訓練で、簡易間仕切りを組み立てる参加者(昨年10月4日、日野町で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210312-OYTAI50007-T.jpg?type=thumbnail

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