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<市町村議会>「名誉職」イメージ 壁に

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「地方議会の制度は時代に遅れている。変えていきたい」と語る尾島さん
「地方議会の制度は時代に遅れている。変えていきたい」と語る尾島さん
「商都米子の再興や子育て環境の整備を進めたい」と話す奥岩さん
「商都米子の再興や子育て環境の整備を進めたい」と話す奥岩さん

なり手不足

 各地で議員選の無投票が相次いでいる。県内でも近年、境港市、日野町、南部町で議員が無投票で決まるなど、なり手不足が課題となっている。全国の市町村議会を見ると、50歳未満は市議が2割、町村議は1割しかいないといい、中でも若者や働き盛り世代が少ないことがうかがえる。

 こうした背景には何があるのか。鳥取市内の会社に勤めながら八頭町議を務める尾島おしま勲さん(58)(3期)と、34歳で米子市議に初当選した奥岩浩基さん(37)(1期)にそれぞれ聞いた。

■    □

 尾島さんは2013年、50歳で初めて立候補する際、今も勤める建設コンサルタント会社「アスコ」の社長に退職覚悟で相談した。当時は企画部次長として、受注に向けた情報収集と部下を育てるのが仕事だった。この時、同社の会長が「会社の仕事と議員活動を両立させたらいい」と提案。議員報酬は月額約22万円で、別に稼がないと家族を養っていけないこともあり、両立を決意した。

 ただし、勤務形態がパートタイムのようになるため、給与の減額を自ら申し出た。仕事内容も営業の第一線から離れて事務職に変わり、給与は3分の1となった。

 今年4月の町議選で3回目の当選を果たしたが、新議員の顔ぶれを見ると、経営者や会社役員はいても、現役の会社員は尾島さんだけ。こうした現状を「議員が何をやっているかが見えず、やりがいのある仕事とは感じられていないのでは」と分析する。

 また、議員報酬についても「通勤、住宅、家族などの各種手当がなく、民間でいう基本給しかない。これでは職業として成り立たない」と指摘。今でも「名誉職」としての色合いが濃いことも、働き盛りの世代が議員になることの壁になっていると感じており、「私は自費で滋賀県の研修施設によく行くが、議員の質を上げるためにも、会社などで採用している制度や手当の導入を考えるべきだ」と訴える。

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 奥岩さんは、中学・高校時代はトライアスロンの選手で、スポーツトレーナーになるため、米ネブラスカ大に進学。公認の資格を取って帰国した。

 10年前に故郷の米子市に戻ったが、高校卒業以来、街が発展していない姿に「何とかしなければ。子育てをできる環境の整備も必要」と、2018年の市議選に立候補した。

 若い議員が少ない理由について「議員が何をしているのかがわからない上に、選挙があるので身分が安定せず、報酬や休みが少ないと思われているからでは」と話す。ただ、「米子市議会は年代バランスは取れていると思う。それぞれの議員が若い人の要望も聞いて対応していると感じる」という。

 市議になって約3年。「現場目線、住民目線を常に心がけていきたい。市長などの市当局に対しては適度な緊張感を持って、議員の仕事をしていく」と話している。(脇孝之、但見易史)

<メモ・なり手確保策>

 議員のなり手不足を解消しようと、一定の年齢以下の議員報酬を手厚くする動きがある。長野県生坂村議会(定数8)では、55歳以下の議員報酬を月額18万円から議長よりも高額の30万円に引き上げたところ、初適用となった今年4月の村議選では20年ぶりの選挙戦となり、30歳代1人、40歳代2人が当選した。

 長崎県小値賀(おぢか)町議会も2015年3月、月額18万円の議員報酬を50歳以下は30万円とする条例案を可決。しかし、その1か月後にあった町議選(定数8)に立候補した最年少は57歳だった。町内では「報酬のためかと言われ、逆に出にくくなるのでは」といった声もあり、次の町議選を前に条例は廃止された。

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2061054 1 New門@鳥取 2021/05/19 05:00:00 2021/05/19 05:00:00 2021/05/19 05:00:00 「地方議会の制度自体が時代に遅れている。変えていきたい」と語る尾島さん https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210518-OYTAI50002-T.jpg?type=thumbnail

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