田んぼダム 浸水防ぐ効果

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田んぼダムのある排水口(左)とない排水口(右)では流れ出る勢いが違う(鳥取市で)
田んぼダムのある排水口(左)とない排水口(右)では流れ出る勢いが違う(鳥取市で)
モデルの水田に設置された田んぼダム(鳥取市で)
モデルの水田に設置された田んぼダム(鳥取市で)

 全国各地で豪雨災害が相次ぐ中、水田に雨水をためて洪水被害を減らす「田んぼダム」が全国的に広まっている。県は昨年度から田んぼダムに取り組む農家を支援しているが、限定的なのが現状だ。田んぼダムの利用者をさらに増やそうと、県は農家や地域住民対象の実証研修で理解を深めてもらう取り組みを始めた。(山内浩平)

 田んぼダムは、水田から水が流れる排水口に切り込みの入った調整板をはめ込むことで、排水量を調節する仕組み。河川の急激な水位の上昇を防ぎ、下流域などの浸水被害を防ぐ効果が期待される。

 新潟県で2002年度から普及が始まり、全国で水害が相次いだことを受け、熊本県や栃木県など全国各地で取り組みが広がっている。流域治水を推進するため、県内では鳥取市内を流れる大路川下流域を中心に、19年度頃から住民が主体的に取り組み、22年3月末現在で地域の水保全に取り組む10団体で約60ヘクタールまで取り組みが広がっている。

 県は農家の利用を促そうと、21年度から、10アールごとに300~400円の交付金で支援する取り組みに乗り出した。25年度までに全県下で500ヘクタールを目指す。

 しかし、田んぼダムについては、「あぜが崩れる」「生産量が落ちるのではないか」などと、農家からの不安の声も聞かれるという。

 そこで、県は県農業試験場(鳥取市橋本)内にモデルの水田を設置。実際に目で見て、排水の様子を確認してもらうなど、不安を解消する説明を行い、導入を促そうとしている。17日に第1回の研修会が開かれ、農家や自治体の関係者ら約70人が参加した。

 研修会では、調整板の有無や切り込みの形の違いなど条件を変えて排水の変化を観察。調整板がない場合は、勢いよく排水するのに対して、ある場合は徐々に緩やかに水が流れていく様子がわかった。

 研修に参加した、農業を営む浦田功さん(67)は「ハード面の工事は費用がかかるので現実的ではないが、豪雨の際には効果的な取り組みだ」と話す。

 田んぼダムを活用した水害を防ぐ取り組みには、農家に周知し、理解を得た上で協力してもらうことが必要だ。県は現在、鳥取大農学部と調整板の改良にも取り組んでいる。

 県農業振興監農地・水保全課の竹内崇課長補佐は「田んぼダムは、現状ある資源で少し工夫することで防災につながる。県として理解してもらえるよう努力していきたい」と話している。

 次回の「くらし安心・安全@鳥取」は7月25日に掲載予定です。

農林業の被害額 過去10年で最大

昨年7月豪雨、県内

 2021年7月7~12日、県西部や中部を中心に県内全域が豪雨に見舞われた。1日の降水量では、倉吉市で年間1位を更新する325.5ミリを記録するなど、日吉津村を除く18市町で被害が確認された。主な被害は、重軽傷4人、床上・床下浸水241棟。6万4060世帯(15万2989人)に避難指示が出された。

 また、農林業への影響は大きく、被害額は45億3600万円で過去10年間で最大規模となり、18年の西日本豪雨の27億800万円を上回った。あぜやのり面の崩壊などで農地610か所、農道349か所、水路768か所が被害を受け、パイプハウス30棟が損壊した。

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3111845 0 くらし安心・安全@鳥取 2022/06/25 05:00:00 2022/06/25 05:00:00 2022/06/25 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/06/20220624-OYTAI50013-T.jpg?type=thumbnail

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