人遺伝子ラット創薬弾み

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研究成果を説明する香月准教授(米子市で)
研究成果を説明する香月准教授(米子市で)

鳥大など、独自技術で代謝再現

効果・副作用 正確な予測に期待

 薬物に対する人体の反応を、ラットの体内で再現することに成功したと、鳥取大などのグループが発表した。独自の技術で薬物代謝に関係する人の遺伝子を組み込んだ。創薬に向けた動物実験で、効果や副作用などを正確に予測できるようになる可能性があるといい、グループは「開発スピードと成功率のアップに貢献できるのでは」と期待している。論文は米科学アカデミー紀要に掲載された。(浦西啓介)

 新薬の開発現場では、人に対する臨床試験(治験)の前に多数の候補物質をラットなどに投与し、有効性と安全性を確かめる。だが、肝臓や小腸で薬物を分解し、体外に排出する薬物代謝酵素は種によって異なるため、人では動物実験の結果より分解が進んで薬効が弱まったり、想定外の毒性が表れたりすることが少なくない。

 新薬の発売後に死者が出て、販売中止に追い込まれたケースもある。

 鳥取大の香月康宏准教授(染色体工学)らは、ラットの体内で人の薬物代謝酵素を作らせようと、関連する遺伝子をラットの細胞に導入。市販されている薬を投与し、人の体内と同じ代謝が起きることを確認した。

 遺伝子には、たんぱく質の設計図が書き込まれている。薬物代謝酵素の遺伝子は、設計図としては長大で、従来技術では導入が難しかったが、同大学は独自に開発した人工染色体技術を活用。さらに、遺伝子を効率良く改変できる「ゲノム編集」技術も使い、ラット本来の酵素ができないようにした。

 グループは2012年、同様の手法でマウスに関連遺伝子を導入することにも成功している。ただ、ラットの方が体重が約10倍と大きく、薬の投与や採血も繰り返し行える利点があるため、創薬の現場ではラットで動物実験が行われることが多いという。

 香月准教授は「製薬企業との共同研究を目指すほか、いずれは学内ベンチャー企業から実験動物として販売したり、技術提供したりして、地域経済の活性化にもつなげたい」と話している。

 新薬開発の現場に詳しい田中利男・三重大教授(システムズ薬理学)の話「人の遺伝子を組み込んだ動物は新薬の開発には不可欠で、世界的に大きな流れになっている。全ての実験でラットが使われるわけではないが、組み込まれた遺伝子に適した薬なら、効果や副作用などを予測できる可能性がある」

452193 1 ニュース 2019/02/20 05:00:00 2019/02/20 05:00:00 2019/02/20 05:00:00 人間の遺伝子を組み込んだラットが新薬開発に果たす役割を説明する香月准教授(米子市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20190219-OYTNI50033-T.jpg?type=thumbnail

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