在宅医療 情熱ささげ20年

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在宅医療について語る徳永さん(鳥取市で)
在宅医療について語る徳永さん(鳥取市で)
開設から20年目を迎えた「野の花診療所」(鳥取市で)
開設から20年目を迎えた「野の花診療所」(鳥取市で)

 

野の花診療所 徳永医師

 

「穏やかな時間」患者ら感謝

 医師でノンフィクション作家でもある徳永進さん(73)が始めた「野の花診療所」(鳥取市行徳)が、今年12月で開設から20年を迎える。同診療所は、内科の一般診療をする一方、穏やかな最期を迎えられるようホスピスを併設。自宅に出向いて診察する在宅医療にも力を入れており、患者の家族からは「『家に帰って残りの時間を家族と過ごしたい』という父の最後の望みをかなえてくださった」などと、感謝の言葉が寄せられている。(脇孝之)

 徳永さんは、鳥取赤十字病院(鳥取市)で23年間、内科医として勤務し、2001年12月に野の花診療所(19床)を開いた。病院の勤務医として見つめた患者の人生や患者とのやりとりを記し、講談社ノンフィクション賞を受賞した「死の中の笑み」をはじめ、多数の著書がある。

 開設当初から在宅医療に取り組んでおり、原則、車で20分までの範囲内で往診を行っている。徳永さんは「自宅で療養すれば気を使うことが少なく、生活音など懐かしいものにあふれていて、鎮痛作用があると感じる」と話す。

 厚生労働省によると、1951年には自宅で亡くなる人が約83%、病院や診療所では約12%だったのが、2009年には自宅が約12%、病院や診療所が約81%と逆転。医療の進歩に伴い、患者やその家族は、後悔しないように最期まで病院で治療を受けるケースが多くなっている。その一方、内閣府の12年度の意識調査では、「最期を迎えたい場所」は「自宅」が55%で最も多く、「病院等」は28%だった。

 駆け出しの頃から在宅医療の持つぬくもりや豊かさを感じていた徳永さんは、在宅医療を広めるために公民館を回って説いたこともあった。「病院では『何病の患者さん』というだけだが、自宅ではその人の人生を踏まえた役割がある。風が吹いたり、近くに木があったりと、より自然に近い空間というのもいい」と勧める。

 野の花診療所には「穏やかな時間を過ごすことができた」など、在宅医療を受けた患者の家族から様々なメッセージが届く。女手一つで育ててくれた母親に「家族と笑顔と大好きなものに囲まれて最期を迎えてほしい」と在宅医療を始めた女性は、「不安もあったが、先生や看護師さんらに助けられ、最後まで母の周りは笑いであふれ、皆の心を温かくしてくれた」と感謝の気持ちをつづっている。

 在宅医療は「人間の本当の姿を見せてもらえる」と徳永さん。今後については「いろいろな理由で家族や社会から見放される人がどうしても出てくる。そうした人たちのバックアップを続けていけたらいいなと思う」と話している。

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2398463 0 ニュース 2021/09/28 05:00:00 2021/09/28 05:00:00 2021/09/28 05:00:00 在宅医療の良さについて語る徳永進さん(野の花診療所で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/09/20210927-OYTNI50014-T.jpg?type=thumbnail

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