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知床事故受け キャンセル増
安全対策徹底 海の魅力PRへ奮闘
北海道・知床半島沖で乗客乗員26人が乗った観光船が沈没した事故は、岩美町の景勝地・浦富海岸を巡る遊覧船事業にも影を落とした。修学旅行客を含む約300人分のキャンセルが相次ぎ、大型連休中の客足もコロナ禍前に及ばなかった。運航する山陰松島遊覧(岩美町)は、徹底した安全管理をホームページで発信するとともに、旅客船業界が進める安全対策の改善に向けた議論にも加わり、海の魅力のPRを進める。(谷口学)
山陰松島遊覧は乗客定員95人の遊覧船と、箱メガネでの水中観察も楽しめる同12人の小型船などを運航している。
6日午後、友人と約40分の遊覧船クルーズを楽しんだ大阪府吹田市の会社員山内健太郎さん(26)は「海は穏やかで、エメラルドグリーンの海と岩の織りなす景観を堪能した。大自然のアートだと感じた」と満足そうだった。
山陰旅行を1か月前に計画した山内さん。北海道の事故で「乗船に若干の不安を感じた」という。同社は、ないでいるように見えたこの日、海上に0・5メートルほどの波があるとして、小型船の運航を中止した。山内さんは「そのアナウンスに安全最優先の姿勢を感じ、逆に信頼感が高まった」と話した。
同社は法令に基づき、発着点の
それでも、北海道の事故が報道された直後の4月25日、修学旅行で乗船予定だった県内外の中学校2校(計約100人)から、いきなり中止の連絡が入った。小型船のネット予約も、今月上旬までに約210人がキャンセル。大型連休中の利用客数は、コロナ禍前(8000~1万人)の8割程度にとどまった。
今後の修学旅行を巡っても、旅行会社から「学校側が保護者に説明する必要があるため、安全管理規程を教えて」との問い合わせがあるという。
同社は北海道の事故後、ホームページに安全対策のポイントを掲載した。「規程が守られていれば、事故は防げた」との思いを抱く川口社長は、日本旅客船協会が今月11日に設けた安全対策特別委員会の委員に就任。沿岸の遊覧に使われる小型船の安全対策について、国の事故対策検討委員会とも連動して議論を進める考えだ。
14日からは船底の一部が透明なグラスボートの運航も始まった。川口社長は「今後、海は透明度が上がり、梅雨の合間の新緑の輝きがいっそう美しい時期を迎える。万全の態勢でお客様を迎えたい」と期待を寄せている。