交番襲撃苦しみ今も あす初公判 警備員妻心境語る
完了しました

悲しみ、傷自分の口で伝えたい
富山市で2018年6月に起きた富山中央署奥田交番襲撃事件で、強盗殺人罪などに問われた元自衛官島津
「被告に私たちの苦しみと傷を分かってほしい」
同市内で報道陣の取材に応じた妻は、こう言って声を震わせた。夫の写真を公開した理由について、「被告はたぶん主人の顔も知らない。顔だけでも(新聞やテレビに)出して、何か感じるものがあればという期待を込めた」と話す。これまでは孫らへの影響を考慮して公開を控えていたというが、孫たちの「おじいちゃんが悪いことをしたわけではない」という言葉に後押しされた。
事件発生から2年半が過ぎてようやく裁判は始まるが、時間とともに遺族の心境にも変化があった。同じく犠牲となった稲泉健一警部補(同46歳、殉職後2階級特進して警視)に対し、妻は当初、奪われた拳銃によって夫が殺されたため「『なんで拳銃を奪われたの』という思いしかなかった」。だが、「稲泉さんも被害者。市民を守る使命感で一生懸命戦ってくれたことに、『ありがとう』と言わなければいけないと思うようになった」という。
裁判では被害者参加制度を使って、自ら意見陳述する予定だ。準備のため被告に言いたいことを書き出していると、「色々なことが思い出されてつらい」という。涙をこぼすこともたびたびあるが、それでも「自分の口で(被告に)思いを伝えたい」。
島津被告に望むことを問われると、語気を強めた。「私は量刑を決められない。なら何を望めばいいのか。被告には正直に全てを話してほしい。私たちの苦しみと悲しみ、傷を十分に理解したうえで生涯を全うしてもらいたい」。被告が何を語り、どう考えているのか。14日の初公判から、法廷で見守るつもりだ。