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ひとり親食でつなぐ 配送、イベント NPO「困窮状況知って」

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ひとり親家庭に郵送する食材を段ボールに詰める出分さん(富山市で)
ひとり親家庭に郵送する食材を段ボールに詰める出分さん(富山市で)

 県内でひとり親家庭を支援するNPO法人「えがおプロジェクト」(富山市下新町)が今年9月で設立から5年を迎える。コロナ禍で生活がさらに困窮している家庭に食料を届ける活動を展開し、国や県に支援の充実を訴えてきた。ひとり親家庭の現状への理解はまだ乏しいとして、代表の出分玲子さん(64)は「厳しい状況を多くの人に知ってほしい」と呼びかけている。(吉原裕之介)

 「誰かとつながっているという気持ちが心の支えになった」

 同団体の支援を受けた県内の40歳代の女性は小学1年生の息子を一人で育てている。夫からのDV被害がひどくなった3年前、息子を連れて家を出た。パートで働きながら、児童扶養手当を受給して暮らす。

 昨年6月頃、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、仕事が少なくなり、手取り収入が6万円ほどに激減。看護師の資格を持っているが、時間の融通がきくパートでしか働けず、資格を生かせていない。発達障害のある息子を受け入れてくれる学童保育を探したが、見つからないためだ。

 「このままでは生活できなくなるかもしれない」。そんな時、同団体が富山市内の会場に食料を集め、訪れた母親たちに持ち帰ってもらう「フードパントリー」を開くことをテレビで知り、足を運んだ。

 女性は「生活が苦しい中でいただいた食材はもちろん、誰かとつながっていることが何よりもうれしかった」と振り返る。

■孤立感味わい

 同団体代表の出分さん自身も、シングルマザーとして3人の子どもを育てるのに苦労した。長男が大学進学前に、夫からのDV被害が理由で離婚。一人で家計を支えていくため、結婚後に辞めた小学校の教員への復職を目指したが、採用されたのは非正規雇用の臨時職員だった。

 「正規職員として働きたいが、ブランクがあるため雇ってもらえない」「悩みを打ち明けられる人が周囲にいない」。孤独感を抱える母親たちの気持ちが分かるだけに「何とか支えたい」と2010年に活動を始め、16年にNPO法人化した。

 クリスマスパーティーや親子料理教室など、同じ境遇の人たちが集まり、悩みを語り合えるイベントを開催。生活保護などの申請の際に自治体の窓口まで一緒に行き、手続きをサポートした。様々な支援制度はあるものの、手続きは複雑で、仕事と育児に忙しい母親たちが苦労する姿を見てきたからだ。

■手紙や善意支え

 コロナ禍になってからは、フードパントリーや、困窮するひとり親家庭の自宅まで食材を送る活動を続けている。食材の購入には、国からの補助金や、寄付金などを充てている。

 現在の活動は、イベントを手伝うボランティアを除き、食料の運搬からイベントの企画まで、出分さんがほぼ一人で担っている。当事者からの感謝の手紙や、食料などを提供してくれる寄付者の善意が支えだ。

 活動の幅が広がる一方で、世間でひとり親家庭への関心が低いことが気がかりだ。出分さんは「ひとり親家庭の貧困は、コロナ禍でさらに深刻化している。大変な思いで頑張っているお母さんたちがいることを少しでも多くの人に分かってほしい」と話している。

 同団体は、活動資金や食材購入のための寄付金を受け付けている。詳しくは同団体のホームページ(https://www.egao-project.org/)へ。

 県が2018年にまとめた「ひとり親家庭等実態調査」によると、ひとり親家庭は県内に7875世帯あり、約9割にあたる7232世帯が母子世帯だ。「臨時・パート職」が26・2%を占めており、母子世帯の45・9%は、年間就労収入が200万円に満たない。

 労働政策研究・研修機構(東京都)が昨年11月に行った全国調査では、回答したひとり親500人のうち35・6%が「直近1か月間に、お金が足りなくて(世帯が)必要とする食料が買えないことがあった」と答えるなど、新型コロナの影響は深刻だ。

 県や自治体も支援を広げてきた。県は昨年度、米と商品券を配り、生活支援給付金3万円を支給。富山市は別に3万円を支給したほか、県の給付金3万円に上乗せする形で2万円を支給した。

 入善町は今年度、町内3か所の入浴施設で使える「親子ふれあい券」を1人当たり5000円分支給している。同町結婚・子育て応援課の担当者は「日々の疲れを癒やし、リラックスした時間を過ごしてもらいたい」と話している。

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2087891 0 ニュース 2021/05/30 05:00:00 2021/05/30 05:00:00 2021/05/30 05:00:00 ひとり親家庭に郵送する食材を段ボールに詰める出分さん(27日午後4時36分、富山市中島で)=吉原裕之介撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210530-OYTNI50007-T.jpg?type=thumbnail

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