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昨年調査で全国最少
地域の子どもらに食事を提供する「子ども食堂」について、県は今月から営業許可の取得を不要とし、県に支払う手数料を廃止した。手続きや金銭的負担を軽減することで開設を促し、支援活動を後押しする。
■交流の場にも
県によると、県内の子ども食堂は26日現在、富山市や高岡市など7市に少なくとも25か所ある。食事の提供にとどまらず、子どもや親の交流の場としての機能も果たしている。
県では食品衛生法に基づき、中核市の富山市を除く14市町村で、不特定多数にさまざまな料理を提供する場合、子ども食堂にも一般的な飲食店と同様に営業許可を取るよう義務づけてきた。さらに他者と調理場を共有する公民館などを会場として使う際は、条例に基づき、県が衛生面を確認する費用として、その都度8400円の手数料を支払う仕組みになっていた。
■届け出制に
だが、子ども食堂はボランティアで開催する団体も多く、「金銭的な負担が大きい」といった声も上がっていた。このため県は、子ども食堂は非営利や福祉目的であることから営業許可を不要にし、営業を届け出てもらう形式に変更。手数料も廃止した。ただし、一定の衛生水準を保つため、必要に応じて講習は受けてもらうという。
一方、富山市ではこれまで、子ども食堂に対して営業許可や手数料の支払いを義務づけていなかった。今後は県と同様に届け出制にする。隣の石川県では届け出てもらう形としている。
NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(東京)が昨年10~12月に行った調査によると、富山県内の子ども食堂は24か所(当時)と全国で最も少なく、10万人当たりの数でも2・29か所と最少だった。
新型コロナウイルスの感染が拡大し、県は子ども食堂に対して感染症対策にかかる費用を補助するなどサポートしてきた。コロナ禍が続く現在も生活困窮世帯は多く、県子ども支援課の担当者は「今回の見直しによって子ども食堂を開設する人が増え、家庭や子どもたちの助けにもなってくれれば」と話している。