免許返納特典、富山市が廃止 高齢運転手は増、政策変更に県警「なぜ?」

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市長「申請、一定水準まで来た」

 富山市は今年度から、高齢者の運転免許証の自主返納を後押ししてきた「特典」を県内で初めて廃止した。自主返納という制度自体の周知が進んだことを理由としているが、免許保有者の中で高齢者の占める割合は年々増加しており、政策変更には戸惑いの声も出ている。(加藤亮、小川朝煕)

■制度周知が目的

 富山市では、2006年度から、免許を返納した高齢者(65歳以上)の市民を対象に、タクシー会社への料金支払いや富山地鉄のICカードに入金できる支援券1万円分を交付してきた。この特典を22年3月末の申請をもって終了した。

 市生活安全交通課によると、事業は自主返納という制度の存在を知らしめることが目的で、市では県内でもいち早く取り組んでいた。事業の終了について、藤井裕久市長は17日の記者会見で「申し込みの件数を含め一定の水準まで来ている」と説明した。

 特典の申請件数は06年度は507件で、18年度には1899件にまで伸びた。コロナ禍で19、20年度は減少したものの、22年度までに計1万5034件の申請があり、高齢者の免許返納を後押ししてきた。だが、逆に高齢者の免許保有率は06年は40%だったが、21年は61%と増え続けている。新たに65歳を迎えながら、免許を返納しない人が増えているからだ。

 富山市の70歳代男性は毎日、スーパーや銀行、孫の送迎のために1時間近く車を運転しているといい、「健康な限り運転したいと思っているが、返納する時に何かしらの特典があった方がよいに決まっている」と話す。

■免許手放せず

 県全体の傾向も富山市と似ている。警察庁の運転免許統計によると、県内の免許保有者のうち高齢者が占める割合は、16年は26%だったが、21年は29%まで上昇している。高齢になっても免許を手放せないのが実態だ。

 県警では、免許返納のメリットをアピールするため、特典情報をまとめてホームページで公開している。今年度は富山市を除く全14市町村で特典がある。富山市の方針転換には、県警幹部も「なぜこのタイミングで支援を終わらせてしまうのか」と首をかしげる。

■市長「方策は検討」

 射水市ではコミュニティバスの無料乗車券などを特典としており、年間300件程度の申請があり、担当者は「高齢ドライバーが加害者となる交通事故を減らすことが目的で、引き続き推進していく」と話す。

 一方、黒部市では市内バスのフリーパス券やタクシー利用券などを配布する。19年度からはフリーパスを無期限で有効としており、市民環境課は「事業開始当初は返納の促進が目的だったが、今は代替の交通手段の支援に力を入れている」としている。

 富山市では、高齢者自身に返納の必要を知ってもらったり、運転回数を減らすことを考えてもらったりする講習会を開き、車を買い替える際には運転を補助する機能があるサポートカーを勧める。藤井市長は「高齢者の運転、交通安全全般の支援はまだ必要だと考えており、引き続き方策は検討する」と話している。

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