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外国人観光客の受け入れ手続きが再開され、県内の主要観光地でおもてなしの準備が進んでいる。秋口にかけてすでに予約は入り始めており、大きく落ち込んだ観光需要を回復させられるかどうか関係者の期待も大きい。(加藤亮、小川朝煕)
■合掌造り集落
「Keep your voice down in public spaces(公共の場では大声を出さないでください)」
南砺市の世界文化遺産・相倉合掌造り集落では今月から、案内板や施設の外壁に新型コロナウイルスの感染対策を呼びかける英語のポスターを貼り出し始めた。観光庁のホームページからダウンロードしたものだ。今後は、中国語など他言語のポスターも検討する。
集落にはコロナ禍前、台湾や中国など雪の降らない国・地域を中心に年間15万人近い外国人が訪れていた。この2年ほどはまったく姿が見られなかったが、9日には海外の旅行業者5社が下見で民宿に宿泊した。9月中には外国人研究者ら約20人のグループが訪れる予定もあり、客足は徐々に復調しつつある。
集落の保存財団の中島仁司さん(42)は「出身国によって求められる対策が異なることもある。日本人も外国人も気持ちよく観光できるように準備を進めたい」と意気込む。
■アルペンルート
立山黒部アルペンルートではコロナ禍前の2019年に外国人観光客が24万人も訪れていた。だが昨年、その人数は約900人にまで落ち込んでいた。現時点では予約は入っていないものの、東南アジアを中心に旅行会社から問い合わせが入り始めている。
これまでもデジタルサイネージ(電子看板)などを活用して外国語でも感染対策を伝えており、受け入れ態勢は整っている。担当者は「とにかく早く訪れていただけるとうれしい」と待ちきれない様子だ。
■旅館・ホテル
旅館・ホテルでも予約や問い合わせが増えている。
宇奈月温泉「延楽」(黒部市)は9月にシンガポールからのグループ客約15人の予約が入った。2年間は海外からの宿泊客はおらず、館内にマスク着用やアルコール消毒を呼びかける英語のステッカーを新たに貼った。
富山市の「ANAクラウンプラザホテル富山」では今月中に早速、海外からの宿泊客を受け入れる。団体での問い合わせが相次いでおり、担当者は「受け入れ態勢やセールスを強化して、外国人観光客に向けて積極的にアピールしていきたい」と話している。
今後、外国人観光客の増加が見込まれる中、県感染症対策課は「外国人が来ても、事業者に特別の対策が求められるわけではない。これまで通りの必要な感染対策をとってもらえればいい」としている。