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 ◇総本家駿河屋 和歌山市

和菓子作りに挑戦する体験教室の参加者たち(和歌山市で)
和菓子作りに挑戦する体験教室の参加者たち(和歌山市で)

 かつて嵐をものともせずにミカンを江戸に運び、巨利を得た豪商・紀伊国屋文左衛門を生んだ和歌山県。今も、県内では、世界に通用する技術を持つ企業が様々あり、伝統的な蚊取り線香から自転車と電動バイクの機能を兼ね備えた最新のハイブリッドバイクまで扱う商品も多彩だ。県内の企業を紹介する新企画「紀伊ビズ」。初回は、伝統の一品を若い世代に伝えようと努力を続ける和歌山市の和菓子メーカー「総本家駿河屋」を紹介する。

 球状の塊だったものが、あっという間に菊の花や柿の実に生まれ変わると、子どもらから歓声が湧いた。

「駿河屋」の看板が出迎える新工場。喫茶スペースなどが設けられ、ファミリー層も訪れる(和歌山市で)
「駿河屋」の看板が出迎える新工場。喫茶スペースなどが設けられ、ファミリー層も訪れる(和歌山市で)

 総本家駿河屋が6月に始めた和菓子作りの体験教室。色づけして丸めた白あんに、職人が専用の道具「三角棒」を当てると、次々と細工がなされていく。

 「ゆっくりだとむしろ失敗する。思い切ってやってみて」。職人のアドバイスを受け、参加者たちも餡の塊と“格闘”。母親と一緒に参加した和歌山市立安原小3年相坂恵汰君(8)は「本格的な和菓子を作るのは初めてだったけど、すごく面白かった。また来たい」と満面の笑みだった。

 室町時代の1461年に創業。江戸時代にはようかんの製法を確立したとの歴史を持ち、「お菓子のある暮らしを届けて550年」とうたう老舗だ。「本」という字の焼き印が押された「本ノ字饅頭まんじゅう」などが人気商品で、長く「駿河屋」として市民らに親しまれたが、経営悪化に陥り、2015年に「総本家駿河屋」として再出発した。

 同社が今、取り組みを強化しているのは、和菓子を身近に感じてもらうこと。「贈答用」とのイメージを崩し、若い世代にも親しんでもらうために始めたのが体験教室だ。参加者は自分で作った和菓子を食べたり、持ち帰ったりできる。岡本良太社長(43)は「小さな子どもが自分の『作品』を、大切に、おいしそうに食べているのを見ると、和菓子もまだまだ捨てたもんじゃないとうれしくなります」と話す。

 4月に和歌山市小倉に完成させた新工場も、その一環。定番のどら焼き「あじがさ」が焼き上がる様子などをガラス越しに見学できる。工場内には、明るい光が差し込む喫茶スペースが設けられており、和菓子の数々を単品で販売。お茶と一緒に気軽に楽しめるようにした。「駿河屋の名前も知らないファミリー層に、『おいしい。また食べたい』と感じてもらえるきっかけになれば」(河合正規総務部長)と願う。

 伝統を感じさせる「駿河屋」の看板の奥で、若い世代が和菓子の魅力に触れる。歴史が引き継がれていく。

 4日の和歌山版では、岡本良太社長のインタビューを紹介します。

 ◇メモ 従業員68人、資本金3000万円。店舗は、和歌山市駿河町、近鉄和歌山店など県内8か所と京都市伏見区にある。元々は、「鶴屋」の名で京都で商売をしていたが、1619年の徳川頼宣の国替えに伴って和歌山に。5代将軍綱吉の娘・鶴姫が紀州徳川家に嫁入りした際、「同じ名前ははばかられる」として「鶴屋」を返上。後に「駿河屋」の名を賜ったと伝わる。

<新人です>

※エトキなし
※エトキなし

 ◇接客笑顔キラリ

 ◇松原久瑠美さん 19

 入社から半年余り。笑顔を絶やさない接客で、常連客からは「孫を見ているよう」とかわいがられる。

 「和歌山で接客の仕事に就きたい」と考えていた時、総本家駿河屋の求人を知った。「甘いものが大好き」と迷わず応募。再スタート後、初の新入社員となった。「まだ先輩に頼りっぱなしで……」と控えめに話すが、新工場の見学用にイラスト入りの案内を作るなど、次々と成果を出している。

 和菓子への愛着は深く、「本ノ字饅頭は、1度に五ついけます」と笑う。同世代に和菓子のおいしさを知ってもらうのが今の目標だ。「まず食べてみてほしい。きっと、はまります」

無断転載禁止
51977 0 紀伊ビズ 2018/12/03 05:00:00 2018/12/03 05:00:00 職人から和菓子作りを学べる教室 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181202-OYTAI50004-T.jpg?type=thumbnail

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