<2>外国人も密教触れたい

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瞑想する外国人観光客ら(高野町で)
瞑想する外国人観光客ら(高野町で)
土生川副住職(左から2人目)と談笑する外国人僧侶ら(高野町の無量光院で)
土生川副住職(左から2人目)と談笑する外国人僧侶ら(高野町の無量光院で)

 ◇中国へ“逆輸入” 修行に熱

 「目は半開きで、10秒数えて」。日本人僧侶による英語の説明を受け、約20人の外国人観光客が密教の瞑想めいそう法「阿字観」に取り組んだ。12月上旬、恵光えこう院の道場での光景だ。

 ロンドン在住のアレックス・シモンズさん(40)は4年ほど前に京都や奈良の寺を訪ね、仏教に関心を抱いた。「高野山では僧侶の体験ができると知り、初めて参加した。忙しい生活の中に瞑想を取り入れ、落ち着く時間を持ちたい」と話した。

 オーストラリア・シドニーからやってきたジェームズ・ターナーさん(25)は12年前の家族旅行以来、2度目の訪問。「歴史や文化を理解できる年齢になって改めて訪れたが、地上の天国のような雰囲気は全く変わっていない」と満足そうだった。

 高野山は外国人の姿が目立つ。高野山宿坊協会によると、2004年(平成16年)に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録された頃から増え始めた。欧米を中心に、精神的な充足を求めて訪れる人が多いという。

 宿坊を利用する外国人も急増。13年は約2万人で全体の13%だったのが、17年には約6万5000人と3倍以上になり、全体の3分の1近くを占めた。

     □■□

 山内では外国人修行僧も見かける。高野山無量光院は、平成に入ってから米国やフランスなど約15か国から受け入れてきた。指導する土生川正賢副住職(54)は「日本人よりも熱い気持ちで学ぶ子が多い。密教は元々、グローバルな宗教で、空海も中国で学んだ。多くの人に伝わるべきだ」という。

 近年は中国の修行僧らも目立つ。母国で途絶えた密教を修めるのが狙いだ。空海は804年、唐に渡り、密教を学んで帰国した。だが、中国では9世紀半ばに仏教が弾圧され、密教の教えが後世に伝わらなかった。

 無量光院で修行し、僧侶となった中国・ハルビン出身の李大慶りたいけいさん(34)もその一人。元々は大学で都市計画を学んでいたが、2011年、動画サイトで四国八十八か所霊場を知り、来日。空海が開いたとされる遍路を約2か月かけて巡った。

 各地で地元の人から親切にされ、「お大師さま」の話を聞かされた。「世界一近代化された国、というイメージが変わった」という。

 密教と空海に興味を抱き、遍路の仕上げの地、高野山へ。無量光院で1週間を過ごした後、土生川副住職に弟子入りした。今は高野山大学大学院で学び、「密教への貢献がしたい」と力を込める。

 中国・河南省の寺院、嵩山すうざん少林寺の尼僧で、無量光院で修行をする柯崇佳かすうかさん(34)は「唐の密教を復興し、中国の仏教を完全なものにしたい」という。

 当初は4年ほどで帰国するつもりだったが、「教えの深さに驚き、短期間で学べるものではないと悟った。30年後もまだここにいるかもしれない」と笑った。

 

 ◇訪日客 30年で10倍以上

 日本政府観光局(JNTO)によると、日本を訪れた外国人旅行者は、平成元年の1989年に約283万人だったが、2018年、3000万人を突破。30年で10倍以上になった。

 一時は中国などアジアの観光客の「爆買い」が注目されたが、関西の寺社も根強い人気を集める。高野山は、世界的な旅行雑誌「ナショナル・ジオグラフィック・トラベラー」の企画「2015年に訪れるべき世界のベスト20の場所」に、国内で唯一選ばれた。

 国内では、19年にラグビー・ワールドカップ(W杯)、20年に東京五輪・パラリンピック、25年に大阪で国際博覧会(万博)など世界的なイベントが相次ぐ。政府は20年に4000万人、30年には6000万人に訪日客数を引き上げる目標を掲げている。

無断転載禁止
61050 0 高野山からみた平成 2019/01/03 05:00:00 2019/01/03 05:00:00 阿字観に取り組む外国人観光客たち(4日午後4時43分、高野町の恵光院で)=葉久裕也撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190102-OYTAI50093-T.jpg?type=thumbnail

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