<3>企業墓に経済変化の波

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「共助」と書かれた碑文が目を引く一般社団法人の供養塔(高野町の奥之院で)
「共助」と書かれた碑文が目を引く一般社団法人の供養塔(高野町の奥之院で)
半世紀以上運行したケーブルカーの搬出時には、僧侶による読経が行われた(昨年12月7日、高野町で)
半世紀以上運行したケーブルカーの搬出時には、僧侶による読経が行われた(昨年12月7日、高野町で)

 ◇高齢者支援団体の供養塔も

 標高約850メートルの地で僧侶らが暮らす高野山。“別世界”の印象があるが、実は企業との関わりも深い。

 戦国武将らの墓碑が並ぶ奥之院の参道を歩くと、石造りのロケットやコーヒーカップなどユニークな形の墓碑が目につく。機器メーカーや食品会社、服飾製造など様々な企業が手がけた「企業墓」だ。多くは昭和に、亡くなった社員の供養のために建てられた。

 管理する高野山真言宗・総本山金剛峯寺の工務課長、上東昭夫さん(47)によると平成のバブル崩壊後、企業墓は一時下火となったが、ここ数年、問い合わせが増えているという。「企業墓に注目する観光客も多く、PRを意識するケースもあるのでは」と話す。

 高齢化社会を象徴する墓もある。「共助」の文字が刻まれた真新しい石碑は、一般社団法人「シニア総合サポートセンター」が2015年12月に建てた供養塔だ。

 同法人は高齢者の生活支援や財産管理を行う。谷川賢史事務局長は「『墓は不要』と考える人や、菩提ぼだい寺がある人も、宗派を問わない高野山の供養塔なら受け入れやすい」と話す。

 18年11月に「ルポ 企業墓」(イースト・プレス社)を出版したジャーナリスト山田直樹さん(61)によると、昭和までは製造など2次産業を中心に、「会社=家族」という考えで企業墓が多く作られたという。

 だが、平成に入り、終身雇用や年功序列の制度は転換期にあり、「制度が崩壊すれば企業の意識が変わり、企業墓の形にも影響するだろう。次の元号では主役がNPOなどに変わっていく可能性がある」と指摘する。

    □■□

 高野山と最も関わりの深い企業が、南海電鉄だ。同電鉄の高野山ケーブルカーは、1930年から参拝者を山上に運んできた。

 昨年11月には54年間稼働した3代目車両が引退。12月の搬出時は、金剛峯寺の僧侶らが車両の前で読経した。「長年にわたる高野山への貢献に感謝の意を伝えた」という。

 南海電鉄の関わりは輸送にとどまらない。県外で高野山のPRイベントや、歴史や文化を紹介する講座を開いている。近年は、東京と大阪で「高野山カフェ」を実施。「都市部の人に高野山の魅力を知ってもらうのが狙い」といい、精進料理や瞑想めいそう、写経などの体験が、来場者に好評だった。

 ケーブルカーは現在、機器の入れ替え工事中で、3月に4代目の新型車両が登場する。外国人観光客を意識し、内装デザインは和風。定員は181人で、乗客にゆったり過ごしてもらおうと旧車両より80人減らした。

 ケーブルカーに携わって25年になるスタッフの増田裕彦やすひこさん(64)は10月で定年を迎える。「新しい元号で、新車両の運行に携われるのは感慨深い。近代化された車両を見たお客さんがどういう反応をするのか楽しみ」と今春を心待ちにしている。

 ◇若者の7割以上転職肯定

 昭和の高度経済成長期に形づくられた、終身雇用や年功序列などの制度は、平成になって見直されるようになった。

 平成元年(1989年)の読売新聞では「フリーター」を、組織にとらわれない、自由な働き方として注目されていることを紹介。だが、バブル崩壊後は、不安定な就労形態の象徴とされることが増えた。2000年代には「ニート(若年無業者)」という言葉も広まった。

 近年は、国が「働き方改革」で副業を推進するなど、働き方も変わりつつあり、若者の意識も変化している。内閣府が17年度、16~29歳を対象に行った調査「就労等に関する若者の意識」によると、転職に肯定的な意見が全体の7割以上を占め、否定的な意見は17.3%にとどまった。

無断転載禁止
61020 0 高野山からみた平成 2019/01/04 05:00:00 2019/01/04 05:00:00 「共助」と書かれた碑文が目を引くシニア総合サポートセンターの供養塔(26日午後3時30分、高野町の奥之院で)=葉久裕也撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190103-OYTAI50033-T.jpg?type=thumbnail

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