<4>東京別院 増す存在感

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経を読む参拝客ら(東京都港区の高野山東京別院で)
経を読む参拝客ら(東京都港区の高野山東京別院で)
「地方の寺院を支えたい」と語る広瀬主監
「地方の寺院を支えたい」と語る広瀬主監
東京別院が昨年12月に開設したインスタグラム
東京別院が昨年12月に開設したインスタグラム

 ◇過疎地の寺 存続支援

 「地方の時代」と言われて久しい。だが平成では、人の流れや経済、文化が首都圏に集中した。高野山でも、関東の布教拠点である高野山東京別院(東京都港区)が存在感を強めている。

 東京別院はJR品川駅から徒歩10分余り。高級住宅街・白金台にも近い。昨年12月21日に多くの参拝客が集まった。空海の月命日にあたる21日は「お大師さまの日」として法要などが営まれ、この日は「納め大師」だった。

 約100人が参拝し、会場はほぼ満席。月に3~4回、職場の友人とともに別院に通う江東区、会社員クラウス智子さん(52)は「仏教のことはよく知らなかったが、近所のお堂に毎日お参りすると、悩みが解決し、興味を持った」と話す。

 東京別院は1673年に「高野山江戸在番所高野寺」として建立。1927年(昭和2年)に現在の名称となった。高野山真言宗・総本山金剛峯寺(高野町)の座主が住職を務めており、東日本の重要拠点だ。

 昨年11月には、これまで高野山でしか開かれてこなかった「結縁灌頂けちえんかんじょう」が初めて東京別院で行われた。

 一般の信者が仏様と縁を結ぶための儀式で、高野山では毎年春と秋に開かれている。「近くで実施してほしい」という関東圏の信者らの声を受けた。

 3日間で30~40歳代を中心に約1200人が参加。近くを通りかかった人や、SNSで知った人の参加も目立ち、担当者は「心のよりどころを求める人の多さが改めてわかった」と話す。

 東京別院は昨年12月、画像共有サービス「インスタグラム」も始めた。正月の飾り付けなどをセンス良く切り取った写真を公開し、注目を集める。「若い世代にもっと足を運んでもらう」ことが狙いだ。

 一方で、高野山の末寺は全国に約3700か寺あるが、その多くが都市部ではなく、地方にある。

 過疎地の寺も多い。「日本創成会議」が公表した「消滅可能性都市」全国896市区町村に、約1700の末寺が集中していた。

 事態を重くみた高野山は2016年、「宗団本山将来構想委員会」を設置。地方の末寺を存続させる方策などを1年間検討し、提言をまとめた。

 提言を受け、東京別院は昨年、「首都圏僧侶派遣窓口」を開設した。東京近郊に移住する信者が増え、地方の菩提ぼだい寺の存続が苦しくなっていることを受けた取り組みだ。

 東京などにいる信者らが葬儀や法事を希望する場合、東京別院の僧侶が執り行い、お布施などの一部を地方の菩提寺に送る。昨年は6件実施された。

 東京別院の経営などを担当する広瀬義仙主監(76)は「地方の寺の支援が狙い」と説明する。一方で「東京別院もまだ首都圏では知られていない。今後、東京の名所になるくらい知名度を高め、より多くの寺を支えていきたい」と力を込める。

 ◇人口減 さらに進む地方

 昭和63年(1988年)から平成元年(89年)にかけ、「ふるさと創生事業」として全国の自治体に1億円が支給されたのを手始めに、地方の活性化は平成の大きなテーマだった。

 だが、実際には東京への一極集中が進んだ。総務省の住民基本台帳に基づく2017年の人口移動報告によると、東京圏は22年連続で転入超過となった。3大都市圏である名古屋圏と大阪圏でさえ、いずれも5年連続の転出超過だった。

 地方では、さらに人口減が進む。民間の有識者らでつくる日本創成会議は2014年、「消滅可能性都市」について発表。若い女性の減少と東京圏への人口流出などで人口が減り、40年に全国の896市区町村が行政サービスの維持が困難となって消滅する可能性があるとした。

無断転載禁止
61161 0 高野山からみた平成 2019/01/05 05:00:00 2019/01/05 05:00:00 経を読む参加者ら(21日午後1時5分、東京都港区の高野山東京別院で)=葉久裕也撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190105-OYTAI50000-T.jpg?type=thumbnail

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