串本 宇宙に一番近い町

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造成工事が進む小型ロケット発射場(手前中央)(5日、串本町田原地区で、本社ヘリから)=前田尚紀撮影
造成工事が進む小型ロケット発射場(手前中央)(5日、串本町田原地区で、本社ヘリから)=前田尚紀撮影

ロケット発射場 スペースポート紀伊

 串本町の東端の田原地区で、国内初の民間運営による小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」の建設が進んでいる。2021年度中に、小型人工衛星を搭載した初号機を打ち上げ、20年代半ばには年間20機に増やす計画だ。打ち上げ時には多くの見学客が訪れると見込まれ、地元では「地域活性化の起爆剤になる」と期待が膨らんでいる。(大場久仁彦)

建設本格化

 発射場は、キヤノン電子や清水建設など4社でつくる「スペースワン」(東京都港区)が2019年4月に着工。現在は、山林約15ヘクタールを造成する工事が進められている。

 発射地点につながる約2キロの進入路も最近、切り開かれた。今後は「総合指令棟」や「ロケット組み立て棟」など関連施設の建設も本格化する。21年度中に完成予定で、阿部耕三・取締役は「新型コロナウイルスの影響もなく、順調だ」と話す。

県と町タッグ

 建設のきっかけは、スペースワンの前身の企画会社が17年、発射場の適地の有無を各都道府県に照会したことだった。同社は、安全面の条件として〈1〉発射地点から半径1キロ圏が無人〈2〉(発射方向の)南方に陸地や島がない――を求めたほか、低コストでの物資輸送や地元自治体による全面的な支援を挙げた。

 これらの条件を和歌山県が検討した結果、安全面をパスできる串本町が浮上。物資輸送面も南紀白浜空港などを経由する空路のほか、海路、陸路と充実しており、クリアした。

 さらに県は、発射場建設に伴う経済波及効果について、関連産業の進出や雇用確保、観光振興などで10年間で670億円に上ると試算。「紀南地方の活性化につながる」と判断し、土地造成費として32億円を無利子で融資する支援策を打ち出すなど、誘致に乗り出した。

 発射場の用地買収については、町が地元出身の町職員OB2人を交渉役に起用。地権者63人に個別に会い、「地域の活性化につながる」などと意義を丁寧に説明し、同意を得て、1年あまりで買収にめどを立てた。

 その結果、19年2月に建設が決定した。町の担当者は「県と町が緊密に連携した成果だ」と胸を張る。

観光の目玉に

初号機打ち上げ見学のメイン会場となる田原海水浴場。ロケットは山の後方から打ち上げられる(串本町で)
初号機打ち上げ見学のメイン会場となる田原海水浴場。ロケットは山の後方から打ち上げられる(串本町で)

 地元では、発射見学場の準備も始まっている。

 発射地点は谷間にあり、すり鉢状の地形になっている。さらに、半径1キロ圏内は立ち入り禁止で、発射の瞬間を直接見ることはできない。だが、空へ上がっていくロケットを肉眼で追うことはできそうだという。

 那智勝浦町では、発射地点から北北東約1.5キロにある廃校(旧浦神小)を見学場にする。屋上に約200人、運動場に約2000人を収容。将来的には教室や体育館で宇宙に関する資料の展示も計画している。

 串本町は、初号機の打ち上げの際、南西約1.5キロの田原海水浴場にメイン会場を設け、肉眼と大型スクリーンでも見てもらう。より肉眼で見やすい見学場を探す作業も進めている。

 「新たな観光の目玉」として期待が高まる発射場。町は「従来の『本州最南端の町』に加え、宇宙産業を軸とした『最先端の町』としてもPRしていきたい」と意気込む。

      ◇

 旬のニュースをわかりやすく伝える「New門@和歌山」の10月のテーマは、「ロケット発射場」です。1週間、連続で掲載します。

<MEMO> 小型ロケットは、高精度の通信や気象観測、防災などに使う小型衛星を搭載し、宇宙空間に運ぶのが主な目的だ。近年は、小型衛星を使った「宇宙ビジネス」に進出する民間企業が増え、需要は高まっている。だが、専用の発射場は世界でも少ない。

 国内の主なロケット発射場は、鹿児島県内の2施設があるが、いずれも国や研究機関のロケットが優先される。国内で民間発射場が必要とされる背景にはこうした事情がある。

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1545867 0 New門@和歌山 2020/10/14 05:00:00 2020/10/14 05:00:00 2020/10/14 05:00:00 建設工事が進む小型ロケット発射場(手前中央)(5日、和歌山県串本市で、本社ヘリから)=前田尚紀撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201014-OYTAI50000-T.jpg?type=thumbnail

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