<和歌山>森林と生きる 災害 ドングリ植林 強い山へ

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 会社のホームページには〈山づくりで土砂災害の人的被害をゼロにする〉と記されている。植林などの事業を展開する「ソマノベース」(田辺市)。代表者は、那智勝浦町出身の奥川 季花ときか さん(26)だ。

災害に強い山づくりを進める奥川さん。紀伊水害を機に地元への思いが強くなった(田辺市で)
災害に強い山づくりを進める奥川さん。紀伊水害を機に地元への思いが強くなった(田辺市で)
ドングリの苗。購入者には実から育ててもらい、2年後に植林して防災に役立てる(ソマノベース提供)
ドングリの苗。購入者には実から育ててもらい、2年後に植林して防災に役立てる(ソマノベース提供)

 最近、取り組み始めたのが、ドングリの実と鉢などを1万1000円で販売して育ててもらい、2年後に引き取って田辺市などの山に植える業務だ。成長して強い根を張れば、山の表面が崩壊するリスクを減らせる。自分で育てた木であれば、愛着も出てくる。個人や企業を回り、賛同の輪を広げている。

 中学の頃まで古里は活気がないように映り、あまり好きではなかったという。だが、そんな考えが一変する出来事があった。2011年9月、新宮高1年の時に経験した紀伊水害だ。

 夜間の滝のような大雨、朝に見た泥まみれの街は忘れられない。町内の死者・行方不明者29人の中には、出身中学の1学年後輩の男子生徒もいた。同じ高校への進学を目指し、奥川さんがマネジャーを務める野球部への入部を希望していたという。身近な人を失い、故郷・和歌山に貢献する道を考え始めた。

 同志社大に進んで地方創生を学んでいた頃、再び台風が町を襲った。大きな被害はなかったが、心配でたまらなかった。「自分に何かできることはないか」と読んだ本に「山が強ければ災害を防げる」と書いてあった。だが、防災に特化した会社は見当たらない。「自分が新しく作ろうと思った」

 起業家の育成などを行う会社を経て、19年9月に個人事業の「ソマノベース」を設立、今年5月に法人化した。森林や林業の従事者を意味する「 そま 」の「ベース(土台)」になるとの決意を名前に込めた。林業関連の企業のサイトを製作したり、他業種との交流イベントを開いたりして、ネットワークを広げた。

 災害に強い山とは「整えられた山」だという。例えば木が密集しすぎると、日光が当たらずに強い根が生えない。ただ、地質、環境によって適切な管理方法は変わる。「各地の林業家、研究者の頭にあるものを整理していきたい」。教科書のような資料を作り、社会に貢献する方法も考えている。

 紀伊水害後も、各地で大規模な土砂災害が相次いだ。「亡くなる人、悲しむ人を出したくない」。そんな思いに突き動かされている。

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2590739 0 New門@和歌山 2021/12/12 05:00:00 2021/12/12 05:00:00 2021/12/12 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/12/20211211-OYTAI50050-T.jpg?type=thumbnail

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