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<1>刀は筆 木版の極致

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山本鼎〈漁夫〉1904年 木版(縦16・3センチ、横11・1センチ)
山本鼎〈漁夫〉1904年 木版(縦16・3センチ、横11・1センチ)

 今年、開館50周年を迎える県立近代美術館(和歌山市吹上)では23日まで、記念展「もうひとつの日本美術史 近現代版画の名作2020」を開催している。当館コレクションの柱であり、全国の美術館の中でも質量ともにもっとも充実した内容を誇る版画作品を中心に、明治から現代まで、版画のあらゆる技法を網羅してふりかえるものだ。意外にも、これだけの内容豊かな版画展が開かれるのもはじめてで、「もうひとつの日本美術史」と銘打った意味もここにある。

 この記念展の出品作から、日本の近代版画の冒頭を飾る山本鼎(かなえ)(1882~1946年)の〈漁夫〉を取り上げよう。この作品は、山本が東京美術学校の在学中に、明治の文芸誌「明星」(1904年)に「刀画」として色刷りで大きく掲載された。友人で画家の石井柏亭(はくてい)(1882~1958年)は、同誌に「彫刻と絵画の素養とを以(もっ)て画家的木版を作る。刀は乃(すなわ)ち筆なり」という一文を寄せ、絵画にも匹敵する山本のこの版画作品を高く評価した。

 小品だが、版画の特性を生かした大胆な省略表現とともに、一度見たら忘れられない漁師の後ろ姿が見事に刻印されている。この男は何を思って港を見つめているのだろうか。そんな男の顔の表情も知りたくなるが、ぜひ読者の皆さんの感想も聞かせていただきたい。(県立近代美術館長 山野英嗣)

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1831076 0 県立近代美術館50周年 コレクションの名品 2020/11/11 05:00:00 2021/02/09 18:29:50 2021/02/09 18:29:50 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210209-OYTAI50004-T.jpg?type=thumbnail

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