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<2>不可思議に潜む神秘

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浜口陽三〈赤い鉢と黒いさくらんぼ〉1968年 カラーメゾチント(縦47センチ、横62センチ)
浜口陽三〈赤い鉢と黒いさくらんぼ〉1968年 カラーメゾチント(縦47センチ、横62センチ)

 黒い背景に、くし形の赤いイメージが浮かぶ。海に沈みこむ直前の太陽のようでもあるが、なかに黒く小さな形がいくつも現れ、その想像は妨げられる。

 タイトルには、「赤い鉢と黒いさくらんぼ」とある。赤い部分が鉢の一部だとして、その上の黒い形は確かにさくらんぼであるが、影を鉢に写しているかのような不思議なイメージだ。

 画面上部は色が少し薄く、その下がテーブルの天面、鉢はそこに載るとも想定できるだろうか。しかし鉢は全体が見えず、闇のなかに溶け込む。そして結局これがどういう構図なのか、確かには分からない。

 作者の浜口陽三(1909~2000年)は、ヤマサ醤油(しょうゆ)創業家第10代当主の子息として、現在の広川町に生まれた。戦後、本格的に銅版画に取り組み、渡仏するとメゾチントの技法を高め、国際的な評価を得る。

 メゾチントは微妙な階調表現を可能とする。画面にはビロードのような質感が作り出され、小さな存在が配された奥深い空間には神秘的な雰囲気が漂う。

 この作品は、浜口の兄で第11代当主の浜口儀兵衛氏より、当館の前身、県立美術館に寄贈された。画面左下にフランス語で「和歌山の美術館のための刷り」と書き込まれた当館にとって特別な作品である。12月20日まで開催の「県立近代美術館 コレクションの50年」で展示している。(県立近代美術館学芸員 宮本久宣)

 

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1831276 0 県立近代美術館50周年 コレクションの名品 2020/11/25 05:00:00 2020/11/25 05:00:00 2020/11/25 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210209-OYTAI50005-T.jpg?type=thumbnail

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