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<3>溶け合う 現実と非現実

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木村秀樹〈Pencil 2―3〉1974年 シルクスクリーン・紙(縦75・2センチ、横106・8センチ)
木村秀樹〈Pencil 2―3〉1974年 シルクスクリーン・紙(縦75・2センチ、横106・8センチ)

 鉛筆を持つ二つの手が描かれている。手の形は、いかにも鉛筆を持っていると強調する不自然なものにも見えるが、それ以上に生々しいほど現実的でもある。それもそのはず、この手は写真をシルクスクリーン技法に置きかえて刷られているのだ。

 11月23日まで県立近代美術館で開催されていた「もうひとつの日本美術史 近現代版画の名作2020」展の会場では、この作品の前に自分の手を近づけて、似たようなポーズを取る来場者の方が、ちょくちょく見かけられた。

 実は手や鉛筆の大きさも、実物と同じになるように調整されている。方眼紙に刷られ、1ミリ単位の網目が図柄を通して透けて見えることで、大きさや刷る作業の正確さが強調されているようだ。

 しかし、実物のように現実的な一方で、手首から下はグラデーションで消えており、ちょっと気持ち悪くも感じられる。二つの手と鉛筆も重なり合って透けていて、一体どちらが手前にあるのかと考えてしまう。

 写真を用いた現実感と非現実的な状況を同時に生み出すことで、一体何が起こっているのかと考えさせるこの作品は、シルクスクリーンという版画の技法の特性を最大限に生かしたものである。(県立近代美術館教育普及課長 奥村泰彦)

 

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1831299 0 県立近代美術館50周年 コレクションの名品 2020/12/09 05:00:00 2021/02/09 20:59:05 2021/02/09 20:59:05 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210209-OYTAI50006-T.jpg?type=thumbnail

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