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<4>「表面」の本質 問う 

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井田照一〈Stone, Paper and Stone〉1976年 リトグラフ・紙(両面刷) (縦93・5センチ、横62・7センチ)
井田照一〈Stone, Paper and Stone〉1976年 リトグラフ・紙(両面刷) (縦93・5センチ、横62・7センチ)

 リトグラフ(石版画)の版材でもある石板の左上あたりに、石が置いてあるように見える。とてもシンプルな構図の版画だが、よく見ると、単にこれらのイメージが紙に刷られているというわけではなさそうだ。

 写真から製版された石は、そこに実在するかのようにその影までもが再現されて紙の「表面」に刷ってあり、石板は石板そのものにインクがのせられ、紙の「裏面」に刷られている。あらわれているのは、タイトルの英語のとおり、「石、紙そして石」である。そして、これらのイメージはすべて「表面」に見えている。

 作者の井田照一(1941~2006年)は、版画、特にリトグラフの制作を続けるなかで、版をつくる過程の複雑さなどにかかわらず、刷った後は、版のイメージが紙の表面に転写されることに注目し、版画の「表面」とはなにかを思考してきた。

 1970年代半ばからは、「Surface is the Between―表面は間である」をコンセプトに、版と支持体の表と裏の関係性や、版を刷る行為による水平と垂直のエネルギーが、どのようなかたちであらわれるかを作品で問い続けた。

 70年代、現代美術において描くことがためらわれ、さまざまな表現の方法論が模索された時代にあって、井田の版画を思考する版画は注目を集め、本作は第10回東京国際版画ビエンナーレ展(1976年)文部大臣賞を受賞した。(県立近代美術館学芸員 奥村一郎)

 

 

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1831563 0 県立近代美術館50周年 コレクションの名品 2021/01/13 05:00:00 2021/01/13 05:00:00 2021/01/13 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210209-OYTAI50007-T.jpg?type=thumbnail

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