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<10>色を感じる 黒の世界

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 「朝顔」は、1935年(昭和10年)の第22回二科展で、はざま伊之助の滞欧作品特別陳列として油彩画とともに出品された石版画です。

硲伊之助〈朝顔〉1935年 石版・紙(縦74・5センチ、横54センチ)
硲伊之助〈朝顔〉1935年 石版・紙(縦74・5センチ、横54センチ)

 当時の日本では、重量があって大きな印刷用のプレス機や、版に使う石灰岩の板を一般の画家が持つことが難しく、このようなサイズの作品は珍しかったことでしょう。

 しかし、硲が滞在していたフランスでは、石版による大判のポスターの印刷がさかんで、印刷工房も画家との共同作業に慣れていました。

 このとき、石版の制作はなじみのないものだったと思われますが、彼の油彩画の特徴に通じるおおらかな墨の線と、色彩画家として評価されていた硲らしい、モノクロの作品ながらどこか色彩を感じさせる黒の階調が魅力的です。

 戦後、硲は石川県加賀市吸坂すいさかへ居を移し、油彩画から古九谷に学んだ色彩陶磁へと制作の重点を移しました。陶芸を始めたのは、戦中・戦後の油絵具の質が悪く、望む色が得られなくなったためだといいます。

 油絵具とは扱い方が全く違う釉薬ゆうやくで描画することも、さして不自由ではなかったかと思わせるほどの、自在な黒の世界です。(県立近代美術館主任学芸員 植野比佐見)

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2044833 0 県立近代美術館50周年 コレクションの名品 2021/05/12 05:00:00 2021/05/12 05:00:00 2021/05/12 05:00:00 硲伊之助〈朝顔〉1935年石版・紙(縦74.5センチ、横54センチ) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210511-OYTAI50026-T.jpg?type=thumbnail

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